第29話 ブレンのメイドはゼブを嫌う。
「調子が狂う!」
私は部屋に戻って夜風を浴びていた。
惚れかけているところって...。
「それにしても、マナ、なんでいなくなっていたの?」
マナは私の部屋のソファーの横に立っていた。
マナになぜかさっきの時、いなくなっていたと聞いた。マナは私が先ほどのように何かあればいけないので監視してくれている。普段は。
マナは私が屋敷を屋敷を飛び出した時、一緒についてきてくれたメイドさんで、年齢が同じということで主従関係はあってもため口を許していたりする。
「でも、結果を見ればあっていた」
マナは少しそっけなく答える。でもこれがマナだ。いつも無表情で、経歴を調べても不明が多くあり、訳ありメイドさんだと思っている。というか公爵家総出で調べてもわかっているのは年齢ぐらいしかわからなかったため、訳ありすぎるメイドさんだ。
「そうね...しかしマナも知っているでしょ?万が一、私が認めずに手を出されたら殺されるのよ?」
私は婚約内容を持ち出す。婚約内容を知った時、その場にマナもいたから、マナも知っている。
「どうせ、お嬢様は認めますよ、そしてどっちにせよゼシャラルブ皇子は死ぬじゃないですか」
マナの言う通りだ。前から状況は何も変わっていない。いくら私やゼブの気持ちの変化があったとしても無意味に近い。でも私たちにとっては無意味ではない。
それでも私は、私個人の気持ちをおしたい。
「それにしても、明日は学園が休み...」
「ゼシャラルブ皇子とデートに行くのなら、私は邪魔になりますのでついていきませんよ?」
見透かされていたか。それと同時に新たな疑問が生まれてしまう。
「どうしてマナはゼシャラルブ皇子に会わないのですか?」
いつもそうだ。ゼブに会ったと同時にマナは姿をくらます。そしてマナはゼブと別れたタイミングで現れるのだ。さすがに何度もあると気になってしまう。
「単純な答えですよ、私はゼシャラルブ皇子のこと、嫌いなんですよね」
「え」
私はマナの辛そうな表情を初めてみる。でもそれは嫌っているかのようには見えなかった。
「マナ...?」
思わず心配になってしまう。しかし次の瞬間、マナは普段の無表情に戻る。
「これ以上は言いません」
そう言い残してマナは私の部屋を後にした。その後ろ姿は何か悩みもがいて苦しんでいるように見えた。普段は見ない様子だったから心配になった。でもこれと同時にマナはゼブと何らかの関係があったことがわかった。そうじゃない限り、ゼブを嫌いという必要がないから。仮に一国の皇子を嫌いっていうのなら、戦争や非人道的なことをした時とかならわかるがゼブは何もしていなかった。庶民の間ではゼブは昼寝
皇子や引きこもり皇子など言われているだけであって、誰から恨みを買われるような行為はしていないから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます