第26話 国外逃亡~学校のダンジョンを使ってみよう
さて、夜になった。
ゼブは教室の窓から月光が差し込んでいるのを確認する。
なんとかスティモフに交渉して特別にこの教室のカギとダンジョンに入るためのキーカードを貸してもらった。
このまま難なくいけば計画通りになるだろうが、最近うまくいかないことが多くなっている。屋敷で国外逃亡の準備をしようと荷物をまとめていると俺の父親、現王が訪ねてくるし、なんで国外逃亡しようとしていることが最近になって簡単にバレてしまっている。
俺は学校のダンジョンに入る。そして教室のカギとキーカードをダンジョンの外に投げる。
これでよし。俺はすくっと立ってダンジョンに奥に進んでいく。
ゼブ遅いな。
泊っている屋敷の窓から夜空を眺めながらそう思う。
最近、私はゼブの姿を見ることで安心を得られていることに気付いた。
昔、私は畏怖されていた。そう死の公爵の娘だから。
不運なことに『力の付与』で授かった能力が血液魔法、私は少し悲しくなった。他の能力なら、これ以上他人に畏怖されなくて済んだから。
だから私は貴族の方たちと仲良くするのをやめた。貴族は私たち、エンド公爵家の反感を恐れ、反感を買わないようにご機嫌とりしかしないから。
そうやって耐えていると昔に決めた婚約の話が出てきた。そのことをお父様から聞いた時は私は内心驚いた。婚約内容に暗殺に手伝うことがあったから。しかし表に出してはいけない、ただ私はそんなにも強くはなかった。そのことをお父様に勘づかれていたのだろう。
「ブレン、あっちで本人にこの話が聞いた時に会いに行っては?」
そうお父様から言われた。これになんの意図があったかなんて知らない。
次の瞬間、自分の屋敷から出ていく準備をしていた。
彼と比べると私はまだ生きやすい。噂では何もしない引きこもりなどいろいろあったがこうして会ってわかった。わざとそうしていたんだ。
彼は昔から薄々わかっていたんだ。生き残れないと。だから薄い希望に
とても私は迷っている。個人としては彼を応援したい。でも婚約のせいでその逆をしないといけない。
正直私は彼に助けられている。アルルーンのプトさんが会った時のゼブとの親しさに少し嫉妬してしまった。昔からの知り合いだといえハグするのは婚約者の立場が危なし、自分の無知さに嫌気が指した。
私が今ゼブのためにできることはあるの?そう心の中で自分自身に問うた。
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