第25話 ランダムに破壊を与えたら、戦争終わりました
「ゼブ、遅かったわね」
「すまんな、思った以上に時間がかかった」
教室に入るとブレンとメリッサがいた。ブレンは何気なく話すが、メリッサは驚いていた。
「どうした?そんな驚いた顔をして?」
俺は『ん?』という気になった様子で話しかける。破壊をメリッサに与えることはしていないが他の誰かに与えておいた。この能力は便利だ。完全犯罪ができるから。
「いえ...」
メリッサは気まずそうな感じを出してどう答えるか考えていってようだ。俺もてっきり殺したと思った人物が生きていたら動揺する気持ちはわかる。
ドンッ!!!
勢いよくドアが開かれ、皆は一斉にそっちの方に集中する。そこに現れたのはスティモフだ。
明らかにゼハァゼハァ言っているので急いで来たことがわかる。
「ルブレ・プ・ザント公国って、この前授業でやったやろ?」
スティモフは教壇に上がり、そして話しをし始める。クラスメートも自分たちに一体何事か?とさらに注目する。
「人対魔物の戦争している最中だったんだ」
だったんだ?過去形?もう決まったのか?
ゼブはスティモフの次に発する言葉を待っている間に推測していく。
「人側の重要人物が、なぜか消えた」
それって...もしかして。俺はとある『もしも』を考えてしまう。
「消えたというよりも破壊されたっと言った方がいいかもしれない」
『もしも』通りだ。
ランダムだからって身近かなって思ったけど全然そんなことなかった。しかし俺からすると良かったといえる。俺の手が届く範囲では絶対に失わせないと決めていたから。
「このことが起きたせいで戦争は終結した、魔物側の勝利なのだがまだ終戦条約が結ばれていないが、これからだろう」
...これは、やるしかない。
...国外逃亡を。
作戦は簡単、夜にダンジョンに単独で潜り、行方不明になる。これだけだ。その後はアルルーンが暮らしているところに匿ってもらおう。
戦争で魔物側が勝ってしまったんだ。魔物側が勝つことは人類の恥だと思っているやつが数多にいる。なので他国は勝ったはずの魔物を倒しに来るだろう。そしてそのまま他国が支配する流れになるはずだ。俺はそんなことを許さない。許してしまえば、この大陸で戦火に包まれることになる。
クラスメートは事の重大さに気付いていなかった。
俺は夜になるまで学校で耐えていた。ブレンには少し居残りすることを伝えている。覚悟十分なのにとあることに気付かなかった。
「...なるほど」
ユーロントはクリスや報告書からルブレ・プ・ザント公国のゲルド地方が魔物の支配下になったことを知る。
この魔物は能ある魔物なので、アルルーンももちろんのこと、エルフ、ドワーフやヴァンパイヤなどのことを指している。
しかし他国も同じようなことをするだろうから、一番にゲルド地方にたどり着かないといけない。しかしここ、ヘイト帝国からゲルド地方に行くにはデューレン王国を通らないといけない。そのさいにデューレン王国にバレてしまうだろう。うーむ、どうしようか。
執務室で悩む、ユーロント。悩んでいたからこそ、聞き逃した。ゼシャラルブが夜まで学校に残っていることを。
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