第24話 ゼブは記憶を見る。

 終わった。それが真っ先に思い浮かんだ。そのあとに思い浮かんだのは、ブレッドレンとプトとマナジャだった。

 マナジャはアルルーンであり、プトと年齢が同じで三人で昔はよく遊んだものだ。だけどもういない。

 あの時、マナジャがいなくなったことを知った時、俺も泣いた。今回はいなくなるのは自分だ。プトにまた泣かせてしまう。ブレンも悲しくなるのか?いや、またそんな幻想に期待に希望するのはやめよう。無駄だと知っているはずだと...わかっているのに期待してしまう。



 

 誰かの記憶がフラッシュバックする。

そこは謁見間であった。この自分たち王族が住んでいる屋敷の謁見間。しかし今よりも豪華だ。建てられて間もないように思える。

目の前では皇帝が倒れていた。


 はっ!俺は目の前で倒れている皇帝が初代皇帝であることに気付いた。

初代皇帝の足が破壊されていた。俺によって。そして俺は誰かに憑依していると知りながらも自分が破壊この力を使ってしまったというひどい罪悪感に苛まれる。

しかし初代皇帝の足は一瞬のうちにして戻り、俺はこけて床に倒れる。

 

 なぜ?気になり、自分の足を見るとなかった。...これは。


 ゼブは気付いた、自分の能力と初代皇帝の能力が同じことに。

そして初代皇帝は口をゆっくりと開け、言う。


「心臓が破壊されようとも我は生き残り、そしてその痛みを他者に与えられるのだ」


 次の瞬間、俺は容赦なく初代皇帝のすべて破壊したはずだった。なのに俺が破壊された。



あぁ、そういうことか。

 ゼブはゆっくりと目を開ける。

そこは自分が破壊される前と同じ城下町の景色だった。


 ゼブはゆっくりと立ち上がる。そして学園に急いで戻っていく。

 この能力がどんなものかわかった。だから初代皇帝は生き残れた。この能力は不死であり、そして受けた痛みや攻撃を誰かに任意に与えられる能力だ。

間違いない。

 これなら暗殺されない。でも俺は国外逃亡すべきだ。だからこれからも国外逃亡を目標にして頑張ろう。











「あれは...」


 外套を纏った青年は自分の愚弟の姿を見てしまった。

 一度破壊され、体なくなったかと思われた。そのままなら俺はどれほど嬉しいのに。

 しかし再生されたかのように一瞬で体が戻っていた。

もしかして初代皇帝と同じような能力を持っているのか?なら確実に殺さないと。


 ユーロントは憎む目で去っていくゼシャラルブの姿を睨んだ。


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