第16話 ブサイクという噂

 なぜ飛行魔法という生き残ることに特化した能力で初代帝王は帝王になれたのだろうか?初代帝王なのだから戦争があってもたみを引き付ける魅力も必要になる。

 簡単な話で初代帝王は飛行魔法以外にも能力があった、そういうことなら帝王だったとしてもなれたことがわかる。ワイズ帝国建国記という歴史書には初代帝王が飛行魔法以外の能力を持っていたのではないかということが書かれている。

 

「これが先祖返りってやつかな」


「なにを言っているんですか?」


「ああ、すまん」


 テスト休憩の始まりにぽつりと呟いた言葉をブレンに聞かれてしまう。でも一体なのことについての言葉なのかわかっていないだろうから構わないけど。


「次で最後の教科ですね」


「そうだな、さっさと寝に行きたいわ」


「フフッ」


 ブレンは柔らかに笑った。俺にはなぜ笑ったのかわからなかった。


「どうした?」


「いえ、ここ数日変わらないなと」


「はぁ、そうか?」


「そうですよ」


 まったくだ。そう思い次の教科まで、目を閉じて頭の中にあるその教科の情報を確認していく。





 ワイズ・ゼシャラルブとの婚約は数年前から話に出ており、もしワイズ・ゼシャラルブが『力の付与』で授かった能力が飛行魔法だった場合、婚約が成立するようになったいた。

 私は婚約することを知っていたのでゼシャラルブ第四皇子について調べることにした。でもわかったのは日中は野原で昼寝をしており、そのせいか夜、寝るのが使用人が寝た後ということや民衆の前には姿を見せたことはなく、でも民衆のことには詳しい。他にもお披露目会をしなかったことから貴族の間ではゼシャラルブはブサイクという噂が流れていた。私もてっきりブサイクだと思っていたのが実際は違った。

 『力の付与』の時に初めて貴族に姿を見せた時、皆一様に驚いたと聞いた。


 もしかするとなにかをするために世間への露出を避けていたのではないかと思っていた。

 本当は国外逃亡をしたいだけ、でもゼブが予想していた婚約内容には暗殺も含まれているが国外逃亡を阻止することも含まれていた。

 だからゼブが飛行魔法を授かった時点でゼブは詰んでいるだ。さすがに私もゼブに同情する。

だから私個人としては協力したいと思う。


 そう思いながら横で目を閉じているゼブを見ていた。



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