第12話 婚約者であっても大切にする必要はない。

 ブレンのことを見ている視線が多い。

 俺とブレンは髪を黒に染めたが目は染めてないので俺の緑の目が目立っているが、容姿が明らかに他の人とは違うブレンはより目立ってしまう。特に男子からの視線が多い。不愉快だ。...え?なんでだ?

 俺は自分のことを疑う。この婚約には俺の暗殺とかが関わっているので裏があるだろう。だから婚約者のことを別に大切にしようとしなくてもいいはず。なのになんで?!


「自己紹介決めてます?」


 席に座ると、隣はブレンなため話しかけてくる。


「まったくだ、名前だけで済まそうかなって思ってる」


「さすがにそれは...」


「貴族じゃあるまいし適当でいいと思うぞ」


「そうですね」


 それで会話を終了。今、話すことはない。

 間違ってはいけない。ブラッドレンさんはあくまで俺の婚約者であっても第二皇子の味方だ。このことを利用しなければならない。ブレンの前で国外逃亡のことを言ってしまうのは避けないといけない。こうやって絶対しないといけないと考えることで自分は嫌なことだって行動に移せるはずだ。


 少しの間、ぼーっとしていると大人の男性がクラスに入ってくる。


「この1年G組を担当する、スティモフだ、さっそく自己紹介をしていけ」


 クラスの全体は動揺しながら自己紹介をしていく。俺はおとなしく自分の番が来るまで呆けている。

 呆けることはなにも考えなくてもいいということである。


「ゼブです」


 俺の番が来たがこれでいいのだ。自己紹介の内容なんて自由なんだ。

また俺はぼーっとしていた。



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