第10話 気まずい
「さきほどはすみません」
俺はブラッドレンさんに謝る。お姫様抱っこなんて、俺はなんてことをしてしまったんだ。俺も恥ずかしい。
「いえ、私のことを思ってくれたので」
ブラッドレンさんも気まずいと感じているのか目を合わせない。
ただその場からは動けずにいた。
「坊ちゃま、ここにいましたか」
沈黙の状態を破ったのはクリスだった。このままでは時間が過ぎていくこともわかっていたが少し寂しい。
「ああ、クリス」
「なんでございましょうか?」
「兄上はどこにいる?」
「執務室です」
「わかった」
俺は執務室に向かって歩きだす。少しばかり考えないと。学園に入ったとしても国外逃亡をどうにかして図らないといけない。ブラッドレンさんが授かった能力は戦闘系で確定だろう。そしてチート並に強い。あの野原に住む魔物が恐れたんだから。
コンコン
「入れ」
ガチャ
「なんだお前か、要件だけ話せ」
「俺とブラッドレン令嬢は学園に平民として入学するから」
ガチャ
俺は執務室から出ていく。要件のみ話した。
これでよし。なんにもすることないから飛行魔法の練習でもするか。
そう思い部屋に戻った。
「…なるほど」
国外逃亡をすることを模索してもいいが絶対に国外逃亡はさせない。必ず死んでもらおう。
コンコン
ノック音が耳に届く。
「入れ」
「失礼します、第二皇子様」
「エンドさんとクリスか、なんの御用だ?」
おもにエンドさんから国外逃亡の協力の件と婚約内容があると勘ぐられたことを聞いた。なぜだ?なぜエンドさんのことも疑わない?婚約内容が自身の暗殺だと考えるなら、その婚約相手のエンドさんを疑うのは理解できる。しかしそれをせずにこうして国外逃亡を協力させるようにした。
「学園には平民として入学しよう、そして国外逃亡には協力的にしておけ、だが婚約内容は守れ」
「はい、私はもう来賓室に戻りますね」
「はい」
エンドさんは執務室から出ていった。
クリスから告げられることを待つ。
「…実はとあることがわかりました」
「それは一体?」
「国外逃亡をしようとしている坊ちゃまがなぜあの野原で昼寝などをして屋敷よりも多い時間を過ごしているのかと疑問でした」
そういえばそうだな。国外逃亡をしたいなら普通野原でのんびりとしていることはありえない。しかも毎日だ。
「あの野原には魔物が住んでいることがわかりました」
「なんだと…」
もしかしてその魔物がいるからあの野原でのんびりとしているのか?安全だとわかっているならのんびりすることも理解はできる。
「種類はわかったか?」
「いえ…なんというか、いたことがわかっても一体なんの種類なのか調査できないのです」
「なるほど」
これはクリスの言う通りなんだろう。
「もう下がれ」
「はっ」
クリスは出ていった。
必ず殺さないと。俺は帝王に必ずなってこの大陸の王になってやる。
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