第9話 協力してもらおう
「…待ってもらってすみません」
「気にするな、この場で答えがでたのであろう?なら上出来だ」
次会った時にお伝えする、そう言われるかな?と思っていた。そうなったら俺は学園の入学前に失踪をしておかなければならない。
「はい、私にできることがあるなら協力します」
よし。俺が婚約者に暴力をしたみたいな噂を流すのはありだが、それでは調査されては嘘だとバレてしまう。
と、噂を流す前に学園のことで協力してもらわないと。
「ブラッドレン令嬢、実は私は学園に平民と偽って入学するつもりです」
「え?なんと?」
「ではもう一度、私は平民と偽って学園に入学します」
ブラッドレンさんは明らかに???みたいな感じになっている。多分俺が言ったことはわかるが王族が平民に成り済まして学園に入学することに理解できていないだけかもしれない。
「えぇと、それで私になにをしろと?」
「簡単です、ブラッドレン令嬢、あなたにも平民として学園に入学してほしいのです、このことはまだ兄上に話していないので許可が下りるかはわかりませんが、平民ということで入学することは私たちにとって貴族で入学するよりも成長できると思っている」
例えばダンジョン。貴族ならば命の危険がある場所に進もうものなら止められるが平民は止められない。命の危険がある中のやりとりは経験として大きいものだ。
「なるほど、ですが私の場合は他国の公爵令嬢、そう簡単に平民として入学することの許可が下りるとは思えませんが?」
「そうですね、私は確実に許可が下りると確信までしていますが?」
「それはなぜなんでしょうか?」
「まず、この婚約は当事者である私が知らずに結ばれているところに疑問を抱きます、だってこの婚約はまるで私が『力の付与』で飛行魔法を授かったら結ばれるように事前に決めていたとしか考えられません。ここからは私の推測でしかないのですが、この婚約には内容があると思っています」
「内容ですか?」
「はい、そうです」
第二皇子は俺のことを暗殺もしくは俺よりも王位継承権が強くないと帝王にはなれない。しかし俺が飛行魔法を授かったことによって第二皇子には俺を暗殺することでしか帝王にはなれない。だから俺が国外逃亡に成功しても俺が死なない限り帝王にはなれないのだ。だからこの婚約は怪しすぎる。第二皇子には第一皇子と第三皇子を殺したのではないかという、嘘か真かわからない噂があり、民衆からもあまりよくは思われていない。もし俺のことを暗殺しようものなら第二皇子による他の皇子の暗殺の噂が現実味を帯びてくる。ならこれ以上に民衆からの信用はなくなってくるのだ。民衆からの信用を失わないようにするための婚約だと俺は思っている。
「そうですね、例えば俺の暗殺のこととかですかね?」
内容は知らないので確信はできない。
「そうですね、よく考えてみても平民として学園に入学することは、平民にどれほどの重みがあるかわかりますから、気になりますね」
「ああ、そうだな」
これであとは第二皇子から許可をとるだけだ。
「では、屋敷に戻りましょう」
「はい」
俺はブラッドレンさんに近づいていく。
「ど、どうしたのですか?!」
「すみませんが、手を握らせてもらいますね」
「え、はい」
ブラッドレンさんは戸惑いながらも手を握らせてくれた。
そして徐々に体が浮かんでいく。
あ。
「キャッ!」
俺はブラッドレンさんにお姫様抱っこをする。
「スカートの中を見せてはいけませんので」
「ひぁい」
ブラッドレンさんはプルプルと震えながら、そして顔を手で覆っていた。
そのまま屋敷へと飛行した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます