第6話 詐称!詐称だぁ!

「デュ―レン王国は知っているか?」


「もちろん」


 国外逃亡の件については昔から考えていたことなので、もし他国に逃げてもいいように調べているに決まっている。

 デューレン王国…このヘイト帝国の隣国である。あまり外交的ではないのだがな。もしかしてデューレン王国の令嬢なのか?


「…お前の婚約者になるのはエンド公爵令嬢のエンド・ブラッドレンだ」


 デューレン王国の死の公爵か。内乱時において貴族の中で一番『死』に関わっていた貴族だから、死の公爵というわけだ。

 ブラッドレンさんは俺と同じ15歳だ。だから『力の付与』をしたのだろう。


「なるほど、顔合わせはいつか決まっていますか?」


「ああ、一週間後に学園の入学式があるだろ?その二日前だ」


「そう...ですか」


 俺は朝食を食べることを再開する。

 学園、行きたくない。どうせ周りにはゴマをすりに来る貴族がいるに決まっている。なら詐称さしょうするか。学園の入学手続きは後で自分でしよう。


「クリス」


「なんでごさいましょう?坊ちゃま」


「入学手続きの用紙は俺が書く」


「わかりました」


 これでよし。ピッタシと食べ終わり、自室に戻っていく。


「クリス」


「はい」


「入れたか?」


「もちろん...です」


「そうか…下がれ」


「はい」


 クリスは内心驚いていた。どうやらユーロントも同じようだった。

…毒を盛ってもなんにも違和感に気付かず普通に食べたのだ。

 もしかして飛行魔法以外に超能力を持っているかもしれないとが考え出す。








「なんか、へんな味したー」


 自室に入り、そう呟く。

 さてと、おっ、もう置かれている。

無機質な明らかに違和感を持たれるであろう机の上に置かれていた。

 椅子に座り、用紙を見ていく。

 まずは名前か...ゼブでいいか。

 年齢は15歳だな。

身分は平民でいいや。


 え?まさかテストがあるみたいだ。入学式の翌日に。


今ごろだがブラッドレンさんはもしかしてここの学園に入学するのかな?そんなことはないだろう。

そんなことを思いながら項目に答えていく。

 えっーと、以上で終了と。この紙、学園に持っていかないといけないの?!

面倒だな、でもクリスに任すと詐称していることがバレてしまう。

 ということで学園に向かうか。


飛行魔法を使い、窓から飛び降りてゆっくりと着地する。

 用紙を持ちながら学園に向かった。


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