第5話 朝食を、ってなんで第二皇子がいるの?!

「あら、ゼシャラルブ」


「おはようございます、母君」


「ええ、飛行魔法おめでとう」


「ありがとうございます」


 俺は魔法バックを手に持ったまま、礼をする。

作り笑顔をしておく。王妃にとって俺が飛行魔法を得ることはあまり本意ではない。だってなにもしない皇子が急に帝王になろうとしているのだ。俺だってそんなやつに帝王を任せられない。

 俺はもうこれ以上話したくないから横を通っていく。

止められることはなかった。






「ふぅ」


 湯舟に浸かる。暖かい。婚約する相手は誰だ?できれば他国の令嬢が良い。最悪、婚約のことを使い、移住することにしたらいい。

 本当に国外逃亡できる手段がなくなったら―この大陸を支配するか。それなら国外逃亡なんてしなくてすむ。

だって自分が殺される可能性があるんだ。それの対抗手段として逃げることにしただけだ。なら自分を殺したくても殺せない存在になったらいいだけ。


 さて上がるか。これ以上ここで考えていると物騒な思考になってしまう。









「遅かったな…第四皇子」


 風呂から上がってきてバックパックを部屋に置いてきて、朝食食べにきたらなんで第二皇子がいるんだよ!

 第二皇子ユーロントは目の前に置かれた料理に手を付けず、ゼシャラルブのことを待っていた。


「すみません、兄上、風呂に入っていました」


「…そうか、なぜ席に座らない?」


「これは失礼しました」


 俺は第二皇子が座っている席の左斜めの席に座る。

座るとクリスが朝食を俺の前に置く。


…頂きます。


 心の中で思いながら朝食を食べていく。第二皇子もそれを見て俺と同じく食べていく。なんだかいやな雰囲気だ。そもそも第二皇子による第一皇子と第三皇子の暗殺の疑惑が晴れていないから俺がこうして警戒するのは当たり前なんだろう。


「…王になりたいか?」


 食事中、話しかけられて俺は手を止めて回答する。


「なりたくない」


「そうか...そういえば婚約することになった」


「おめでとうございます」


 ん?昨日聞いた話は嘘だったのか。第二皇子が婚約するのか?

あとクリスからではなく、第二皇子からだったんだ。


「すまない、言い方が悪かった、第四皇子、お前の婚約だ」


「え、」


 俺は動揺する。演技をしておかないと。元々知っていましただなんて知られたら最終的に国外逃亡することがバレてしまう可能性がある。

 一体俺の婚約者になるのは誰なのか?その心の中で思っているといが返ってくるのを手を止めたまま待つ。


 


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