第3話 タッチ鬼
「じゃんけんぽん」
あ!負けた
「愛優(あゆ)ちゃんが鬼だ」
わーっと散らばる子供達を追いかける
今日は公園で鬼ごっこだ。逃げた友達を追いかける
タッチできそうで、タッチはできない
愛優は、かけっこは苦手だ、息が切れてしまう
はぁはぁ言いながら、追いかけると
見慣れない子供が、木のすぐそばにいる
「タッチ」
というと、自分もすぐ逃げる。
でも足が遅いので逃げられないかも。
後ろをふりむくと、あの子が居ない。
「愛優ちゃん、鬼が変わった?」
逃げる自分を見て、交代したと思った子供達が駆け寄る。
「ううん」と返事をすると集まった子供にタッチする
「ずるい」「ずるーい」
笑いながら逃げ回る。
夕方になり、ひとりずつ抜けていく。
数人になれば、遊びは終わりだ。
「ばいばい」と言いながら家に帰る。
「愛優は、帰った?」
母は、私に聞いてくるが帰って無い事は知っている口調だ
「迎えに行くわ」
夕飯前に外に出るのは、億劫でも母が心配するのは理解できる。
変質者よりも、彼らの方が面倒だ。
玄関から外にでると、愛優が戻って来た
「おねえちゃん、ただいま」
はぁはぁ言いながら汗をにじませて、走ってくる
エネルギーが有り余って見えてうらやましい。
でも後ろに誰か居る
薄く黒い人型のそれは、走ってくる愛優に手を伸ばしている
「愛優もっと走って」
怒鳴るように叫ぶと、全速力で妹が飛び込んでくる
それも追いつこうと動きを早めたが、妹はもう私の後ろだ。
黒い人型は、私に手を伸ばそうとして、引っ込めた。
見ていると消えてしまう
妹を家に入れると、玄関に盛り塩をする
「これで少しは平気かな」
夕飯後は、自室から付近を見ると小さな影は居るのは判る
ただ家には近づかない
「いってきます」
妹は元気に走って行く、朝は見守れるが放課後は判らない。
学校が終わると、スーパーで菓子を買う、数本の花も
売っているので買うと、そのまま公園まで行く。
子供達が遊び回っている、木の根元に影のように子供が居た
私はそこまで行くと影は怖がるように奥に退いた
奥には、小さな祠がある。
戦前より前に感じた。
お菓子と、花束を置くと影に向かって手を伸ばす
おずおずと人型の影は私に手を伸ばし、触れた
「私がオニよ」
影は笑ったように見える
薄れて消えた。
妹は偶然みつけて鬼ごっごのオニにした
影は単に遊びでついてきただけだ。
「愛優に説明しないと」
私は木陰から出る。
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