第2話 電話のバイト
「玲子さん、少しいいかな」
窓から外を見ていると、同級生が声をかけてきた
帰宅組で、目立たないおとなしめの子だ。
私は元から同級生とほぼ接点がない。
そんな私に声をかけるくらいだ、よほどの事なのは判る。
「時間はあるから、大丈夫よ」
なるべく冷たく聞こえないように、声のトーンを上げた
このやりとりは苦手意識がある
「バイトに行きたくなくて、今日はどうしても無理で・・・」
「代わりに出てほしいの」
私は片眉をあげながら「すぐにシフトに入るのは難しくない?」
同級生は、苦しそうに吐き出す
「電話から変な声が聞こえて」
とにかく話を聞いてみる
要約すると「Hなバイト先の電話から変な声がする」
だった
「私がHなバイトをするのね?」
皮肉に聞こえてもしょうがない、声は普通に戻した。
「校則違反だろうし、無理じゃないの?」
未成年だろうし、突っ込みどころが満載だった。
バイトには興味はあるが(決してHに興味があるわけではない)
リスキーな事からは、逃げるのが一番いい。
同級生には、バイト代は諦めてバックレろと助言をした
納得できなさそうだが、親友でもないのにHなバイトしろとか
勘弁して欲しい。
私はそんなにHが好きそうに見えるのだろうか
後で舞子に聞いてみよう
夕飯後に部屋でくつろいでいると、電話が来た
舞子だ
「あのね、ちょっと緊急なの、公園にきて」
「すぐ行くからまってて」
急いで着替えると、食器棚から沖縄の塩を取り出す
通販で最近買ってみた
ちょっと高い。
公園まで行くと、舞子と同級生がいた
いや、その周りに黒い人型の何かが取り囲んでいる
舞子が手を振っている
急いで、沖縄の塩をぶちまける
真言を唱えると、頭から塩をかぶった同級生が呆然と立っていた
沖縄の塩の効果は高そう。
「大丈夫?」声をかけると、座り込んでしまう
ベンチで話を聞くと、
バイト中に電話から、変な声が聞こえるようになった
はじめは幻聴かと考えたという
Hな電話は、最初からサクラが大半だ
客に何千円か使わせたら、口実をつけて連絡を止めてしまう。
もちろん客の恨みがたまる
私が見た黒い人型は、生き霊のように見えた
同級生はバイトをやめても、自分の電話に着信があり
怖くなり、舞子に連絡をしたという。
私の番号は舞子以外は知らない。
舞子はクラスの誰からでも好かれている。
同級生には怪異があったら、また連絡をしてと約束をする。
次の日の昼に、舞子に質問してみる
「私はHそうに見える?」
舞子は
「んーん、そうね女王様には見えるわ」
SMの女王様?。
なにか納得した自分を許せない気分で、お昼が終わる。
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