学校のふしぎな話 窓辺の少女2
WsdHarumaki
第1話 夜磨鏡
朝起きて洗面台まで行くと、鏡の中に舞子がいた。
妹も起きてくると
「あれ、おねえちゃんだ」
無邪気に手をふる妹に、手を振り返す舞子。
この娘に危機感は無いのか、と思うが私を見ると
鏡の向こうから、バンバン叩いている。
「どうしたの?」と聞いてみるが、首をふるばかりだ
どうやら音は通らないらしい。
私は上を指さすと、2Fの自室へ上がった
休日で良かった。
自分の卓上ミラーを机に置くと、しばらくすると舞子が現れた。
筆談で意思疎通を考えたが、舞子はペンも紙もない。
とにかく、ここに居てとメモに書いてから、外出する。
いつもの神社まで行くと、社殿に入る。
「美成、居る?」
「今日は、どんな現象かしら」
社殿に居る彼女は、巫女として高い能力を持つ
私が話す前に怪異がある事は、理解しているらしい
特殊な瞳を持つ彼女は、見た目も怖いが威圧感は半端ない。
深呼吸をしてから、経緯を話す。
「同級生が、鏡から助けを求めているの」
「なにか手がかりになるような事はある?」
私は前日からの記憶は、さらったが判らないと答えた。
「舞子は、たまに蔵から何かを見つける事がある」
美成は考えながら
「家に行きましょう」
舞子の家までいくと、母親がでてきた。
「すいません、今朝から舞子がどこにいるかわからないんです」
警察に相談しようとしているらしい
美成は正面から目を開きながら
「ご自宅の蔵には神具がありますね」と、伝えると
母親は威圧されたかのように、「あります」と答えた。
母親に状況を説明をすると、すんなりと理解をしてくれた
どうやら母親も、ある程度は経験はあるようだ。
彼女は、蔵を恐れて入らないようにしていた。
舞子はどうやら好奇心が旺盛なのだろう。
舞子の家の蔵を見ると様々な古びた箱が棚につまれている。
新しく開けられた箱を見つけると
「夜磨鏡」じゃないかしら、美成はつぶやく
舞子の部屋にいれてもらうと、机の家に古い鏡がある
「また鏡なのね」
舞子は前にも鏡で失敗をしている。
美成は「夜まで待てないので結界を作ります」
赤と黒を編んだ糸で、テーブルの周りを囲む。
古い鏡は長方形で、青銅製の表面は曇っている。
「この鏡は何なの?」
美成は「地獄にある、浄玻璃鏡と同じものね」
「浄玻璃鏡は、死者の罪を映す、現世でも同じ能力がある」
「現世で生身の人を映せば、その人の罪が見える筈よ」
舞子は鏡を見て自分の罪を確認したのだろうか
私は自宅から持ってきた卓上ミラーと夜磨鏡を合わせ鏡にする。
「さいはらわい、よはいわらい、よごくのそとへ」
美成が唱えると、舞子は実体化した。
「良かった」
舞子は喜んでいる。
私はほっとしながら、舞子の頭をなでた。
「本来は心を映すのが浄玻璃鏡よ、罪が無い者が見たせいで
心と一緒に体ごと鏡に閉じ込めたのかもしれない」
美成が、夜磨鏡を見ながら説明をした。
舞子に罪が無いと言われると、もやもやと私は考える。
「確かに地獄へ行くほどの罪は無いわね」
ため息をつきながら、美成をみると
「これは、代金としてもらうわ」
夜磨鏡を手に取ると、嬉しそうに出て行く。
誰も逆らえそうにない。
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