4-2
いよいよ、決勝トーナメント一回戦がやってきた。相手は天本女流三段がリーダーで、武藤さんを監督に迎えたチーム天の川。リーグ一位通過したばかりでなく、SNSのフォロワーでも動画の再生回数でもチームネタ将を上回っている。
福田さんは相当意識しているようで、対局前から気合が入りまくっていた。
「それでは、世界一可愛い女流棋士、福田刃菜子さんの登場です!」
そんな福田さんの表情を曇らせるコールをしたのは、司会の中五条さんである。本人たっての希望ということで今回の出番となったらしい。
「あの、恥ずかしいことをあまり言わないでほしいです……」
「チームネタ将については何でも言っていいと聞いたのですが」
「面白いは『何でもあり』ではないんですよ!」
「ネタ将ってみんな難しい……」
中五条さんの脳裏には、ネタ将の祖父の顔が思い浮かんでいることだろう。
その後「レジェンドの中のレジェンド」栗田さんと、「すごく委員長タイプ」の棚橋さん、そして「永世記録係認定」の僕が呼びこまれた。
中五条さん、実はかなりネタを仕込んできたのでは?
相手チームも呼び込まれ、軽くトークをしていよいよ対局前の収録は終了。ここから本番である。
「1回戦の対局者の発表です。チームネタ将、棚橋牡丹女流1級。チーム天の川、外川りな女流1級」
初戦は2番指名、若手の女流1級同士の対戦となった。
「はい、では、『それは塩田会長なら知っている』が答えになるようなことを言ってください」
「はい!」
「はい、福田さん早かった」
「新しい女流棋戦のスポンサーの見つけ方」
「それは塩田会長なら知っている。いや、それ、リアルな話だから」
「はーい☆」
「はい、栗田さんどうぞ」
「あらゆる棋士のサイン色紙の作り方☆」
「それは塩田会長なら知っている。え、偽造ってこと?」
「監督もどうぞ☆」
「また来た! えーと……無茶苦茶魚が釣れる穴場。それは塩田会長なら知っている」
「加島君、座布団持ってかれちゃうよ☆」
「うへえ」
<また大喜利やってる>
<栗田さんが楽しそうで何より>
<加島先生ド下手だな>
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