3-5
負けを引きずってはいられない。収録は予選をまとめて一日でするので、続けて第2回戦がある。3チーム中上位2チームが決勝トーナメントに進めるので、次に勝てばまだ十分チャンスはある。
だが、福田さんが明らかに落ち込んでいた。成績だけみれば2勝1敗だが、決着局で負けたのが相当応えたのだろう。
「切り替えていくよ。次勝って、決勝トーナメントに行こう」
「うん……」
「刃菜子!」
急に名前を呼ばれて、福田さんは目を真ん丸に見開いて僕を見た。
「ちょ、急に……」
「勝負が全部終わるまで全力を出さなきゃだめだ。前を向いて。次の作戦、決めたから」
僕は、胸の前でファイティングポーズを作った。
「すごーい☆」
二回戦の相手は、チームB型。全員血液型が同じらしい。若手主体で、皆最近成績がいい。
ただ、実力は福田さんが上だと信じていた。
「監督のスパルタ、効きそうですね」
「こういうののほうが、ネタになるるだろう」
福田さんは見事、相手の玉を寄せきった。そしてこれは、第3戦目なのである。
福田〇福田〇福田〇。意表の3連投で、チームネタ将、3連勝の滑り出しである。
「疲れた……」
さすがに帰ってきた福田さんはへとへとになっていた。ただ、目にはまだ力があった。
「うん、できると信じていたよ」
「この鬼監督」
「なんとでも言って。さて、次からは作戦も読まれやすくなるから、数字ほど有利じゃない。気を抜かずに行くよ」
「はーい☆」
「わかりました」
「では次は……栗田さん、お願いします」
「うん、頑張る!」
こちらはエースを使い切ってしまった。ここからがチームネタ将、本当の勝負である。
<まさかの福田さん三連投!>
<ネタのような作戦だ>
<これは高嶺の刃菜子さん>
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