3-3

「むむむ」

 対戦も中盤に差し掛かってきた。ここまで栗田×福田〇棚橋×福田〇の2勝2敗である。栗田さんは気合が入りすぎて、暴走気味の攻めで負けた。棚橋さんは力負けだった。しかしどちらかが勝利しなければチームの勝ちはない。相手に読まれているとしても、行ってもらうしかない。

「次は……栗田さんで」

「そうよねー☆」

 颯爽と対局場に向かう栗田さん。

 再び攻めまくる。棋風は変えられない……。

 形勢は微妙だったものの、だんだんと時間ぎりぎりに指すようになる。終盤の20秒は短い。

「あーー」

 福田さんが叫んだ。攻防の角が放たれ、龍が取られてしまった。

 負けた。チームは2勝3敗。栗田さんは連敗である。

「ごめんね……」

 戻ってきた栗田さんはさすがにしょげていた。

「連投行きましょう」

「え?」

「栗田町子は強いんです。そろそろエンジンかかってきたでしょう?」

「そうね。そうかも☆」

 ここまで来たら、突き抜けて攻め切ってもらうしかない。

 そして第六戦、栗田さん初めての対振り飛車となった。得意の左美濃からまたまたガンガン攻める。今度は玉も囲ってあるので安心だ。手が伸びに伸びて、ついに相手玉を仕留めた。

「監督、仕事したじゃない」

「作戦が当たりましたね」

 二人の少女から褒められる。勝った時の監督というのはとてもいいものだ。



 栗田×福田〇棚橋×福田〇栗田×栗田〇棚橋×棚橋〇。連投作戦を再び使い、ついにフルセットまでもつれ込んだ。最後を託されたのは福田さん。

「やっぱり、こういうのが回ってくるのは私ね」

「がんばってー☆」

「見守っています」

 チームネタ将の初戦、運命の最終局である。


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