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「えー、はい。宣伝用の写真を撮るために今日は、ある場所に来ています。三人はロケバスの中にいるんですが、まだどこに向かっていたか知らされていません。さて、今日我々チームネタ将が来たところは……こちらです!」

 ばーん、と映し出された建物には「舞憐ぶれん女子プロレス」の看板が掲げられている。そう、今日僕たちが来たのはプロレス団体の道場なのである。

「さて、みんなはどんな反応するかな? はい、じゃあ出てきてくださーい」

 ロケバスの扉が空き、メンバーの三人が出てきた。

「え、なになに。プロレス?」

「わ、楽しそう☆」

「これは、どういうことでしょうか」

「はい、今日はみんなの宣伝用の写真を撮るために……悪役レスラーのメイクをしてもらいます」

 三人はきょとんとしていた。ああ、見たことないんだな……



 そんなわけで三人は悪役レスラー的なメイクをしてもらっているのだが、その間僕はすることがない。するとスタッフがこんなことを言いだした。

「加島さんはプロレスを教えてもらったら?」

「え」

 そんなわけで今僕はリングにいる。目の前にはベテランレスラー、魔咲剣まさきつるぎがいる。それほどごついという感じはしないが、すごい威圧感だ。

「じゃあ、釣り天井からいっときましょうか?」

「え、いっときましょうって? え? え?」

 そんなわけで僕は、まったく将棋とは関係ないところでいろいろな技をかけられていた。

 ちなみにその様子はほとんど宣伝で使用されなかった。



「はーい、ポーズとってくださーい」

 おどろおどろしいメイクをした三人は、いまいち悪役レスラーのポーズが分からないらしい。そんなわけでレスラーの方たちに実際のポーズを見せてもらっている。

 福田さんは意外と似合っている。悪役顔なのかもしれない。

 撮影が終わって、いよいよこれで本番前の仕事は全て終わった。

「じゃあ、これ投稿しよ。もう上げてもいいですよね?」

 そう言って福田さんがSNSに上げたのは、三人がポーズをとって笑っている写真だった。



<teamnetashow

#この三人組のプロレスでのユニット名は?>



<大ネタ隊 #この三人組のプロレスでのチーム名は?>

<悪手商会 #この三人組のプロレスでのチーム名は?>

<キシーン軍団 #この三人組のプロレスでのチーム名は?>

銀冠一色ぎんかんいーそー #この三人組のプロレスでのチーム名は?>



 なんでも盛り上がるものだなあ。

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