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「兄様はメイド服が好きなんですか!」

「違う!」

 風評被害がひどい。

 ネタ将は自分までもネタにする傾向がある。ありえないのにずっと17歳だと言い張ったり、ツインテールが好きだと強く主張したり。でも僕はネタ将ではないので痛みを伴いたくない。

「多分ですけど、メイド服が一位になったら兄さまも着ることになりますよ」

「えー」

「将棋界はそういうところあります」

 確かにある。「罰ゲーム」と言われる、タイトル戦後のコスプレ写真会(?)まであるので、このお祭り的な大会ならばなんでもありだろう。この前はカツラを投げ捨てている先生もいた。

「ってことは、着物も着るかもしれないのか」

「買いますか?」

「いやあ、兄さん、フリークラスだよ?」

「お金がないと」

「そうなの……」

 誰かに借りるしかないか。……ん、ドレス? ワンピース? 

 頑張れ和服!



 最近「#チームネタ将がやらかしそうなこと」という投稿が時々見かけられる。うちのチームだけ、成績以外の面でいろいろと期待されているようである。

 とはいえ、タイトルホルダーにレジェンドに最年少。実力的にも大変期待のできるはずのチームなのである。

 彼女たちには監督として、戦法面での作戦も伝えてある。大会本番では、ネタだけじゃないというところを見せてやる!



<ネタは受けないが大会では大活躍する。

#チームネタ将がやらかしそうなこと>

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