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「えっ、チームネタ将の監督!」

 美鉾がリアルに飛び上がった。

「そうなんだ。明日ドラフトの様子が放送されて、その時に情報解禁だから、まだみんなには内緒だよ」

「すごいすごい! ネタ将でチームだなんて!」

 僕の妹はネタ将である。だから、大変興奮している。

「いやまあ、今のところネタ将は福田さんだけなんだけど」

「兄様も立派なネタ将ですよ」

「えー」

 濡れ衣だ。昔、美鉾が間違えて僕のアカウントで投稿し、それが受けてしまったのだ。僕自身は断じてネタ将ではない。

「メンバーは誰なんですか」

「栗田さんと棚橋さん」

「すごい!」

「すごい……のか?」

「栗田さんは昔の雑誌で文章見ましたけど、ネタ将の素質がありまくりです!」

「そうなの?」

「棚橋さんはまだ若いし、抜群に頭がいいから、今から英才教育したら一流のネタ将になれます!」

「なっていいの?」

「すごい。ワクワクします! 神の恵みです!」

「そ、そうか」

 なんかこう、もっと別の道で才能を発揮してほしい気もする。

「それで、私に相談って何ですか」

「いや実は、チーム紹介動画をとるんだけど、何がいいかなー、と。ファン代表として聞いてみたいんだ」

「なんか案が出たんですか?」

「まあ、出てるけど……」



 先日の会議にて。

「やっぱり、まだどのチームもやってないことをしたいわよね」

 福田さんの鼻息は荒い。

「どういうのが受けるのかなっ☆」

「最近はいろいろな動画がバズってるから、それを参考に」

「あ、あの、コンビニの冷蔵庫に入ってみた、とか☆」

「絶対だめです」

 知らなかったのだが、栗田さんはかなり天然だった。対局中の凛とした感じからは想像できなかった。

「あの……」

「はい、棚橋さん」

「みんなで漢検一級目指すとか」

「ちょっと求められる努力が大きすぎるかな」

 棚橋さんはとてもまじめだ。まじめゆえに発想がぶっ飛んでいるような気もする。

 大丈夫なのか、このチーム?

「監督はどう?」

「漢検じゃなくても、チャレンジする系がいいんじゃないかな。応援してもらえるような」

「そうねえ」



「そんなわけで、何かにチャレンジするのがいいと思うんだ」

「いいですね! そういえばバンジーやってるチームありましたね」

「あれは良かったね。ただ、同じようなのはちょっとなあ」

「あ、あれはどうですか? 路線バスの旅」

「あ、ロコロの。でもパクリじゃな」

「ちょっとアレンジして。本人に許可貰えばいいかも」

「なるほど」

 さすが美鉾、本人に許可をもらうという発想が僕にはなかった。ちゃんと若者文化の中で生きている気がする。

「とりあえず連絡とってみるか」

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