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さてそれでは、陽気なチームネタ将のメンバーを紹介するとしよう。
リーダーは福田刃菜子女流二冠。中学生ながらタイトルを獲得。さらにもう一つタイトルを加え、一気にトップ棋士の仲間入りをした。美少女であり、皆の前では猫をかぶっている。人気が出ないわけがない。
「よろしくお願いしますぅ」
普段とは全く違う声だ。
そんな福田さんが最初に指名したのが、栗田町子女流七段。タイトル32期のレジェンドである。女流棋士連合の会長であり、もうとっても偉い人なのだ。
「はは、みなさんよろしくねっ☆」
言っておくが大ベテランである。
そして三人目は、棚橋牡丹女流1級。なんと、まだ女流棋士になって一か月である。そんな彼女は新しい最年少女流棋士でもあった。
「指名していただき光栄です」
とっても落ち着いている。
そして監督は僕、加島衛四段。福田さんとは何とも言えない縁があり、妹がネタ将ということもあっていろいろと巻き込まれがちである。
「よろしくお願いします。みんなが勝てるように、力を尽くします」
「何を言ってるの。私たちの目標はバズることよ」
「え」
「男性版見なかったの? それぞれチームがアカウントを作っていろいろと発信していたでしょ。とんでもないリツイートとかもされていた。あと、チーム紹介動画。2万再生とかがいくつもあった。正直、羨ましかった」
「そ、そう」
「うん、楽しそうだったね☆」
「私も拝見しました。画期的でしたね」
「そんなわけで、加島さんはネタの監督もお願い」
「な、なんで僕が……。そもそも武藤さんとかの方がふさわしかったのでは」
「武藤さんはもう他のチームに取られていたの!」
「あらあら☆」
聞きたくなかった。なんと僕は「はずれ1位監督」だったのだ。
「でも、頼りにはしているから」
「はいはい」
こうして僕は、チームネタ将の監督として「バズらせる」役割を担うことになってしまったのである。
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