田原総一朗、倒れた総理を見る

 僕、田原総一朗は今日も討論番組の収録へ向かう。

○○テレビのスタジオに入ると、まずはみんなに挨拶をした。


今日、僕に挑んでくる人は、ジャーナリストの池永潤いけながじゅん、医者の石ケ原栄光いしがはらえいみつ、飲食店を運営する徳井加奈子とくいかなこ、□◇大学名誉教授の田口葉介たぐちようすけ。政治家からは、△▽党の市嶋頼明いちじまらいめい、○×党の織田原茂樹おだはらしげき、○○の会の谷山紀久子たにやまきくこ、そしてなんと、内閣総理大臣の關浪俊道せきなみとしみちも来る。


早速、開始時刻だ。

パチパチパチパチパチパチパチ

大きな拍手がやむのを待ってから、番組進行係のアナウンサーが口を開く。

「さあ、今夜も始まりました、朝まで終わらん激熱討論!!」

パチパチパチとまた大きな拍手が鳴る。


「はい、今日のテーマを早速発表しちゃいましょう。今夜のテーマは・・・・・『激論!アフリカ戦争で日本はど~する?』です!!」

「最近、アフリカで戦争してるからね。日本は今んところそれらしい支援してないのよ。相手側の大国から何やら制裁されたりして・・・・・大変大変。内閣支持率もともと低いのにピンチだよね」

「もっとも、今回は総理大臣、いらっしゃります!!!!」

スタジオはすんげぇリアクションに包まれる。


ゲストが出てきた。今日はこの人らと僕は戦うことになる。

「それでは、早速始めてもらいたいと思います」

まずは、僕が話を振る係だ。

「最近さ、アフリカで戦争やってるので世間騒いでるよね。それについてみんなに聞きたいと思うんだ。飲食店の徳井さんどう?」

「経済がどんどん落ち込んでいってます。スーパーで買ったもので料理するのが精いっぱいな人が多いので、飲食店の収入はほとんどなくなってしまっています。総理、これをどう見ますか?」

そう言って、徳井が聞いた時、みんな分かった。


「あれ、総理いませんね?」

みんながざわつき始めた。番組のドッキリではないはずだ。

収録を中断して、総理大臣を探し始める。

「私、楽屋行ってきます」

女性アナウンサーが楽屋に行って少ししたら、

「キャァ!!!!」

悲鳴が聞こえた。

若い輩は走って向かうが、高齢者には厳しい。ゆっくり歩くしかない。


やっとのことで、楽屋についたら、総理が横たわっていた。口にはテープが張ってあった。

「総理は生きておられます」

僕を落ち着かせるために、男性アナウンサーが言った。

「何でこうなったのかい?」

市嶋頼明が言った。

「あのねぇ、君。こういう時はまず救急車呼ぶだろう。小学一年生でもわかるぞ」

「その時間の間にも少しは原因を探した方がいいのでは?」

「まず、救急車は呼んだのかって聞いてるんだ。別に、何者かにやられた跡はないだろう?」

ああ、口論を始めてしまった。

「すぐにわかるものではないです」

「君は、幼稚園ぐらいの時に探偵ごっこをしていたと見れるね」

何を思ったのか鋭い指摘に、市嶋はひるんだ。ひるんだだけではなかった。

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