第11話 エロハプです!エロハプです!
社宅、羅刹と好美が住む七〇三号室にて……
「ふー、筋トレ終了っと」
羅刹が帰って来ると、バスルームへのドアが開いた。
「あ、せっちゃん。あたし今あがったところだから入っていいよ」
バスタオル姿の好美が現れた。
筋トレで全身を酷使し尽くした羅刹の体から乳酸が消し飛んだ。
脳味噌がアドレナリンとドーパミンと男性ホルモンであるテストステロンを過剰分泌して止まらない。
羅刹の中の獣が鎖を千切りろうと猛り狂う。
「好美! 男の前でそういう格好はダメだろ!」
「えー、せっちゃんにならいいじゃない」
好美は胸の下で腕を組んで、たわわな爆乳がますます強調される。
理性の鎖がミリミリと音を立てて千切れそうになる。
「だってあたしせっちゃんの事、大好きだもん」
「おふぅっ!」
羅刹が咳き込む。
鼻のほうから喉へ流れてきた血を手で受け止める。
好美が、妖艶な眼差しで一歩近寄って来る。
「女の子がこんな押しかけ女房みたいな事とか、一緒にお風呂入ったり、一緒に寝ようとしたり、気付かないなんてせっちゃん鈍すぎるよぉ」
好美の目が、捕食者のような光を帯びて、でも見た目の可愛らしい顔立ちには似つかわしくない魅力は健在だ。
「でもね、せっちゃんが朴念仁さんなのに罪はないよ。だからあたしから直接言っちゃうの。だってあたしもう高校生だよ。お誕生日が来たらあたしもせっちゃんも一六歳だよ。一六歳は結婚できる年だもん」
「ここ、このみ……」
羅刹の理性が全力でマージェンシーを鳴らす。
もしこれ以上何かあったら。
例えば好美のほうから直接性的なお誘いがあったら、今の羅刹は絶対に断れないだろう。
雄の本能全開で好美を汚してしまうだろう。
それだけはなんとしても阻止しなくてはならない。
「せっちゃん」
好美は胸の下で腕組みをやめて、人差し指で自信のくちびるに触れた。
「今夜あたしと」
バスタオルが落ちた。
はらりと、
さらりと、
ぱさりと、
「へ?」
好美が自身の体を見下ろす。
豊か過ぎる胸が邪魔で自分で自分の下半身は見えないが、空気中に晒された桜色の頂きを見れば状況は明らかだった。
「あ、あ、あ、あ……」
好美の全身がピンク色に染まって、首か上は灼熱色に燃え上がった。
「見ちゃだめぇええええええええええええええええ!」
「ぎゃあああああああああああああああああああ!」
理性の鎖が根こそぎ引き千切られた。
「やぁん! 電気消してくれなきゃだめぇ!」
好美が体を隠そうと内股になって両手で胸を隠して振り向いた。
今度は量感溢れるヒップラインが羅刹を誘惑して、羅刹は好美を守る為にその場を緊急脱出した。
玄関から外へ飛び出す羅刹。
一人残された好美は体も拭かずに、自室にあったミニスカートとTシャツを着てから追い掛けた。
「せっちゃーん」
トレーニングジムからすさまじい音がしていたので、すぐに解った。
ジムに入ると、羅刹が五〇〇キロ、半トンサンドバッグにラッシュをかけていた。
「せっちゃーん」
羅刹がサンドバッグを叩き終わると、好美はすぐに駆け寄った。
「超えた……」
「うん?」
鼻から血を流し、肩で大きく息をしながら羅刹は言った。
「二分一〇秒……壁超えた」
「超えたってどうして!?」
「いや、それは……!?」
羅刹の目が血走る。
好美は羅刹の視線を追って、自分の胸を見下ろした。
「あ……」
体を拭かずに着た白いTシャツは肌に張り付きスケスケで桜色の円が見えている。
しかも胸の先端がぽつっと尖っているのがわかる。
「やぁんっ、下着つけるの忘れてたぁ……」
「ノーパンノーブラかよ!」
はずかしそうに右腕で胸の中央を、左手でミニスカートの裾を抑える好美。
羅刹はまた鼻から血が流れ始める。
「うぅ……ねぇ、せっちゃん」
好美はうつむいたまま、うわめづかいに羅刹を見つめる。
「せっちゃんが手を出してくれないのはね、あたしが悪いと思うの。あたしが魅力不足だから」
「いや、それだけは絶対ないんだけど」
「やめてっ、気を使わないでっ、よけい惨めになっちゃうっ。で、でもね……」
恥じいるようにして、好美は言う。
「せっちゃんが優勝目指すなら、あたしはせっちゃん籠絡を目指しちゃうからねっ」
「っっ!?」
この時、羅刹は思った。
真の敵は好美か!?
と。
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