第14話 アオイ十三歳 身長一三五センチ 戦闘力:人間並 評価:E

「どぉおおおおおおせっぇええええええええええええい!」


 ガゼルを地面にたたきのめし、流れるようにその首を刺し貫く。槍が血で真っ赤に染まり、ガゼルの体も自分の血で赤になる。


 季節は移り変わり、初夏になった。


 平原の草木も緑が深くなり、暑い日差しのなか、俺は額の汗を腕で拭った。


「よしお前ら、終わったぞ」

「おーアギト、こっちもだ」


 今日も一緒にきた六人は、その背に俺が仕留めた獲物を背負っている。でもその手には、俺が仕留めていないディンゴがぶら下がっている。


「お前らも上手くいったみたいだな」

「ああ。アギトみたいに一人でってわけにはいかないけど、みんなで協力したらな」

「アギトの当てた作戦通りにやったら上手くいったんだぜ」

「おまえ頭もよかったんだな」

「まぁな」


 俺は得意げに親指を立ててみせる。


「おっ、あれカンガルーじゃないか?」


 広大な平原には、後ろ脚で立つ動物が数頭、ぴょんぴょん跳びながら移動していた。


「おじさんがカンガルーの蹴りは凄いとか言っていたな。次はあれにしようぜ」


 俺が後先考えずに走り出すと、後ろからみんなもついてくる。


 かくして、俺はカンガルーの蹴りをかわし、横っ腹を突き刺して仕留めた。


 カンガルーの蹴りで死んだ人もいるらしいけど、いまの俺の敵ではなかった。


 俺はまだ力が有り余っているけど、さすがにこれ以上の獲物は持ち切れないので、今日の狩りはこれでおしまいだ。

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