第25話 キリン少女レキシー・ロスチャイルド
起きた僕は地球の服に着替えるとティアやムチポ、エマと一緒に食堂へ向かう。食堂と言っても学食とかの食堂ではなく、王族がご飯を食べる立派な部屋で、白いテーブルクロスがかかった円卓にが鎮座している。
「ねぇニンゲン様ぁ、どんな夢見たのか教えてよー」
右手を握ってくるティアに、僕は苦笑いを返した。
「あはは、だから何度も言う様に忘れちゃったよ」
「つまんないわねぇ」
ティアが可愛くほっぺを膨らませた。可愛くほっぺを膨らませたから、凄く可愛い。
それにしてもまさか、エデンの動物が人間になったり死んでも生き返る理由が、知恵の実と生命の実を食べたからだったなんで。
でも納得できる。
進化論だと、猿が知恵の進化をして人間になったと言われている。
少なくともエデンの動物は神様が作ったみたいだけど、もしも進化論の本当の意味が『動物が知恵を持つと神様に近い姿になる』という事なら納得だ。
待てよ、そうなると。
「ねぇエマ。この国って猿族はいるの?」
「はい。城内には兵として多くのゴリラ族がおります。また、トラ族やゾウ族同様代表貴族が公爵家であるゴリラ族は大規模領主で、領内にはチンパンジー属やオランウータン族など数多くの猿族が住んでいます」
ゴリラって獣耳も尻尾もないよね? どんな姿なんだろう?
「その代表貴族や公爵家って?」
「それぞれの種族の長は貴族であり、代表貴族と呼ばれます。さらにその中でもトラ族、ゾウ族、キリン族、クジラ族、ゴリラ族の長は五大貴族に指定され、公爵と呼ばれます」
ティアが大きく胸を張って得意満面になる。
「アタシのお母様はトラ族の代表貴族なのよ」
「すごいね」
「凄いのよ!」
昨日も聞いたことだけど、僕はティアに調子を合わせた。そうするとティアも嬉しそうに機嫌を良くしてくれる。
食堂について、エマさんが開けた扉をくぐると、円卓にはもうレオナが先に着いていた。
「あ、おはようございますニンゲン様」
「おはようレオナ」
笑顔のレオナに、僕を笑顔を返した。
王族とか貴族とか、動物の世界も身分社会なのかと思ったけど、お姫様のレオナが先に食卓に着いている。たぶん、それほど厳格な上下関係じゃないんだろうなぁ。
まぁ、みんな子供っぽいし。
僕は漠然と、国民に重税を強いる王様じゃなくて、小学校の班長さんとか、学級委員長をイメージしてしまう。
エマが椅子を引いてくれて、僕が食卓である円卓に座る。見ると、円卓には他にも何人かの女の子が座っている。
「ではニンゲン様、朝食を食べる前に、自己紹介をさせて頂きますね」
レオナが言うと、他の席の人達が僕を見た。
この部屋唯二人の、大人の女性が、
「昨日に続きこれで二度目ですが、ゾウ族代表貴族、アフリカヌス家長女、ファノビア・アフリカヌスでございます。城ではゾウ隊の隊長とレオナ姫殿下の相談役の任を賜っています」
「う、うん、よろしくね」
相変わらずスイカ大のおっぱいは迫力があって、僕は圧倒されてしまう。ていうか、当たり前のようにテーブルの上におっぱいが乗っている。
みんなを見て解った事だけれど、とにかくエデンの人は元になっている動物の体の大きさが身長に、体重がお尻やおっぱいの大きさに関わっているらしい。
小動物の子は幼稚園児や小学校低学年みたいな見た目で、大型猛獣の子は高校生ぐらいで、みんな巨乳だ。陸上最大の哺乳類であるゾウのファノビアさんや、恐竜さん達は大人の女性でみんな爆乳ぞろいだ。
続いて、座っていても分かるほど背の高い、褐色の肌でメガネをかけた女性。そう、ゾウのファノビアさんに続いて、顔立ちが大人っぽくて、明らかにレオナやティアとは違う。
彼女が何族からは、黄色い耳を見なくても想像ができた。
「私はキリン族代表貴族、ロスチャイルド家長女、レキシー・ロスチャイルドでございます」
レキシーさんは知的な顔のメガネをくいっと上げて、僕を見つめた。そのしぐさが魅力的で、僕は思わずドキッとした。
レキシーさんは、背はファノビアさんより高そうだけど、少しスレンダーで、胸もファノビアさんに比べると小ぶりだ。
キリンは体長こそゾウより長いけど、体重は五分の一程度だ。この二人を見ると、エデンの動物達の体格基準が良く分かる。
「それでティアがトラ族代表貴族の娘なんだよね? 後は」
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