第12話 風のマリバリシアVS巨大ロボ主人公

「それにしても変わったゴーレムねぇ」


 巨大ロボットであるアークを前に風のマリバリシアは地上一〇センチのところに浮きながらそんな感想を漏らした。


 機械の存在しないファンタジー世界の住人からすれば、確かに巨大ロボットはゴーレムにしか見えないだろう、そのせいで彼女はこの後酷い目に逢う。


『ゴーレムじゃなくてアークだっての、てかどうせなら向こうの巨乳ちゃんと戦いたかったぜ、いくら露出多くてもなぁ……』

「なっ!? アンタ喋れるならもっとマシな事喋りなさいよ! それに小さく無いわ!」

『小さく無いけど特別大きくはねえだろ?』

「ムキー!」


 怒りを露わにするマリバリシアは緑色の髪と瞳に合わせて同じ緑色の羽衣を纏っている。


 だが胸や腰周りを覆っただけの彼女の露出度はビキニも同然で背中や腕を通る羽衣はフワフワと浮いて揺らめき体を隠すような役目は果たしそうにない。


 これは自慢の美肌を見せつける為と愛する美少女を肌で感じる意味があり、そして彼女の絶対的な防御力の自信の現れでもあった。


「アンタも相手が悪かったわね、アタシは魔族最強の魔術師マリバリシア、アタシのマジックシールドはどんな微細な魔力も感じて自動展開されてあらゆる攻撃を防ぐわ」


 アークの肩のハッチが開く。


「分かるかしら? つまりこの世のどんな攻撃呪文は勿論、魔力を使った属性攻撃みたいなアンタ達人間が魔族に対抗して鍛えた魔力攻撃は全部無効、魔力で動くゴーレムなんて普通のパンチでも発動して防ぐわ」


 アークの肩から一発のミサイルが発射される。


「円筒形の鉄? 何、ゴーレムなのに鋼属性の魔術使えるの? でもアタシのマジックシールドを破りたかったらぶぎゃああああああ!!」


 顔面に直撃したミサイルが炸裂、マリバリシアは爆炎に包まれ黒コゲになった。


「な、なじぇええ? ゲホ」

 開いた口から黒い煙を吐きだして彼女は最上級の疑問を世界に投げかけた。

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