第11話 水のカイナルスVSラブコメ主人公
「じゃあ初対面の人もいるみたいだから自己紹介しておくわね」
剣を構えたままポニーテール美少女が言うと彼女の剣が燃え上がりその熱で空気を焼いた。
「私は四天王リーダー、炎のルビナード、戦いは紳士的にね」
続けて右と左のサイドテール美少女が喋る。
「アタシは風のマリバリシア、愛しているのはレーネお姉ちゃんと美少女よ♪」
「ボクは土のスケルレーネでマリの双子の姉だよ、僕にソッチの趣味は無いんだけどねぇ」
「わたしは水のカイナルス、覚えておくのですよ」
最後にツインテール美少女のカイナが言い終わり、ルビナードが叫ぶ。
「バトルスタートよ!」
ルビナードとエリスと剣が衝突する爆音にまたもや凛一はパニクる。
理由は単純明快で……
「ちょっ! 何かってにバトルパート入ってんだよ!? この中でオレ一人だけ一般人じゃねぇかよ!」
「さあ行くのですよお兄さん、これぞ魔族最強の召喚術師、水のカイナルスの実力なのです」
凛一だけがノーマルである事に気付かず彼女の背後に巨大な魔法陣が浮かび上がる。
青いロリータファッションのカイナルスのスカートやフリルに合わせて青いツインテールも揺らめいて次第に背後の魔法陣も変化する。
彼女の瞳の色と同じ青い光を放って魔法陣がスパーク、中からドラゴンの顔が現れる。
ゲームで見るモノよりは小型の、それでも象ほどの大きさはあるドラゴンは陸上型で羽は無い。
その巨躯を全て晒した時、凛一の胸が高鳴った。
緑色の鱗(うろこ)に覆われた体表と鋭い爪と牙、そして後頭部に生えた二本のツノはこの世のあらゆる生物を貫き引き裂く事だろう。
何の力も無いただの学生が相手にするにはあまりに強大過ぎる存在を前にパニックに陥っていた凛一の体は震え、視線はドラゴンを見据えたまま動かなくなってしまい、一つの感情が凛一を支配した。
「驚きましたか? わたしは精霊だけでなく普通のモンスターも召喚する事ができるのですよ、さあ行くのですグリーンドラゴン、あのお兄さんを踏み潰し――」
「超カッケェエエエエエエエ!!」
「へ?」
全力でカイナルスを無視して通り過ぎ後ろのドラゴンに駆けよりその体表に触れる。
「ドラゴンだ! マジでドラゴンだ! カッケー! マジパネェ! さすがファンタジー世界は違うな! おい、こいつ火噴くのか火!?」
「え、噴けますけど……」
「頼む! オレにドラゴンブレスを見せてくれ!」
伝家の宝刀ジャンピング土下座でカイナルスの目の前まで跳ぶとそのまませっかく湖の全裸美少女に治してもらった額を地面に叩きつける。
その姿にカイナルスは動揺しながらも、
「い、いいですよ」
と答える。
桜崎凛一の四八の主人公補正(スキル)
ジャンピング土下座:凛一の熱意溢れる土下座をされた女性は思わずOKをしてしまうのだ。(ただし相手には最低限の心の綺麗さが必要)
「マジで! やっぱ可愛い子は違うな! オレのクラスの女子共も見習って欲しいぞ!」
凛一が感動のあまり小柄なカイナの頭を撫でると最強の召喚術師であるカイナは可愛らしい顔を赤く染めてうつむいてしまう。
ただでさえ童顔な顔の彼女だが凛一に手を離された時の名残惜しそうな顔は可愛さ三割増しである。
撫でられた頭に手を置き、カイナルスはちょっと嬉しそうな顔で凛一を見上げてからグリーンドラゴンに命令を出す。
桜崎凛一の四八の主人公補正(スキル)
頭ナデナデ:凛一に笑顔で頭を撫でられた年下キャラはこの世の全ての縛りから解き放たれ、最上の幸福と甘酸っぱい気恥しさを感じるのだ。
「グリーンドラゴン、空に目掛けてドラゴンブレスなのです」
主の命令に今までどうしていいか分からず黙って待っていたグリーンドラゴンは鋭い牙がズラリと並んだ口を開いて青い空に向かって直径三メートルほどの火球を吐きだした。
「すっげぇえええええ!!」
「こ、これで満足しましたか?」
「ああ、これで夢が一つ叶ったぜ」
子供っぽくはしゃいでバンザイをする凛一にカイナルスが尋ねると凛一はカイナルスの手を握る。
「あう……」
握られた手を見てカイナルスの頬の赤みが増していく。
桜崎凛一の四八の主人公補正(スキル)
握手:純真な少女が凛一に手を握られると心の扉は開き壁は崩れて凛一に心を委ねてしまいたくなるのだ。
「あの……おにいさんはモンスターが怖くないのですか?」
「怖い? なんでだよ、あれカッコイイじゃん、オレはモンスター大好きだぞ、まだ小さいのにあんな凄いの出せてカイナは凄いな、尊敬するぞ」
凛一が輝くような笑顔でカイナに笑いかけた。
ズッギュゥウウウウウウウウン!!
「は はわわぁーー!」
桜崎凛一の四八の主人公補正(スキル)
主人公スマイル:凛一の笑顔は全てのガードを無視して女性の心に響き、笑顔を向けられた女性のライフはゼロになるのだ。
「お、おにいさんのお名前は?」
「オレは桜崎凛一だぞ」
「そ、そうですか、それで凛一おにいさまはドラゴンのどこが好きですか?」
「そうだなぁ、やっぱりオレとしては……」
こうして桜崎凛一はツインテールのロリータ美少女との楽しいモンスタートークタイムを楽しんだ。
「(ツインテール幼女最高!!)」
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