第8話 異世界でもエロハプですか?
「イヤャァアアアアアアアアアアアアア!!」
少女が両手で恥かしい場所を隠して凛一が叫ぶ。
「すいませんでしたぁああああああああ!!」
ジャンピング土下座で凛一は自身の額を地面に打ち付けた。
「ふえ?」
「すいませんごめんなさい悪気はなかったんです! でも大丈夫何も見てませんいや本当は見たけどでもていうかそりゃ見たいよ、男なら君くらい綺麗で可愛い子の裸をそりゃ見たいか見たくないかで言ったら見たいさ、だけどオレははそれを実行しちゃう勇気も無いチキン野郎さ! 週に三度は義理の妹が夜ベッドに潜りこんでくるけど未だにキスもできずパソコンでエロ画像をため込むしか能が無いチキンなオレを罵ってくれ!」
何度も額を地面に激しく打ち付けてから再度渾身の力を込めて額を地面に叩きつけると今度は額を地面にグリグリと押し付ける、今の凛一はお代官様に無礼を働いた農民のような姿であった。
その姿が余程面白かったのだろう、可愛らしい笑い声を聞いて顔を上げると少女はクスクスと笑いながら凛一を見ていた。
腰まで伸びた長い銀髪と鮮血の赤(ブラッディレッド)の瞳と病的に白い肌の美少女の笑顔はひたすら可愛く、その顔を見ればどんな嫌な事も忘れられそうだった。
そして凛一が彼女の耳が不自然に尖っている事に気付いたのと同時に少女は凛一の顔に手を当てた。
「おデコ血が出てるよ、痛くない?」
派手に打ち付けた額を心配そうに見てくる少女の瞳に魂が吸い込まれそうになりながら、凛一はキメ顔で言った。
「平気さ、土下座で流血は日常茶飯事だからね」
「そんなに土下座してるんだ……ちょっと待っててね」
言って、少女の手が淡い光に包まれると額を中心に顔が暖かくなり、擦り傷による痛みがみるみる和らいでいく。
「はい、これでもう大丈夫だよ」
「可愛いだけじゃなくて回復までしてくれるなんてなんてイイ子なんだ! 将来お兄ちゃんのお嫁にならないかい?」
歓喜のあまり叫んだ言葉に少女は頬を染めてうつむいてしまい、そして自分が全裸である事を思い出した。
「忘れてたぁああああああああああああああ!!」
足元の服を抱えて美少女は走り去る。
その姿を見送りながら凛一が少女の可愛いお尻を最初に見た全裸と共に脳内HDに最高画質で別名保存した事は言うまでもなかった。
桜崎凛一の四八の主人公補正(スキル)
裸眼カメラ及び脳内HD:凛一は美少女のお宝ショットを感知すると視界が止まって見えるほど反射神経が上がり、その全ての静止画と映像を毛穴の一つ一つまで鮮明に記憶し自由に思い出す事ができるのだ。(この時の動体視力ならば銃弾も止まって見える)
「ちょっと凛一どうしたのよ急に」
「急に走り出すからびっくりしたぜ」
ようやく追いついたらしいエリス達の声が背後からして振り向くと、拳法家として生命の気の流れを読むのに優れた竜輝が驚き一歩あとずさる。
「ど、どうした凛一、先程とは比べ物にならないほど気力に満ち溢れているぞ!?」
最強のフラグメイカーは悟りを開いたような綺麗な目で呟く。
「ちょっとね、天国を見てただけさ」
「「「???」」」
三人が凛一の言葉を理解できる日はきっと来ないだろう。
◆
「じゃあアークは飛べるんだな?」
『ああ、通常飛行なら一日中でも飛んでられるぜ』
森を抜ける為にひたすら歩きながら凛一はセイルにアークのスペックを聞いている。
当然軍人のセイルは質問のいくつかを禁則事項と言って教えてくれなかったが今後の事を考えると戦力の把握は必要だった。
特にこの超人達の中で凛一だけはなんの力も無い一介の学生、自分だけが三つの世界の知識がある事を踏まえても凛一はすでに頭脳面で役に立つ算段をしている。
「…………」
背後、セイルが乗るアークを見上げながら凛一は今一度アークについて分析する。
推定身長一〇メートル、推定体重六〇トン未満、鍛えこまれた竜輝の手足が小枝のように頼りなく見えるほど逞しい手足は、しかし人間との比率を考えれば特別太いわけでは無く、装飾性が皆無であるアークは巨大な兵隊のようで腰には剣、背中には銃を装備している。
二丁の銃を背負う背中には折りたたまれているが鋼の翼が見てとれた。
その巨体や重量を考えれば飛べる筈が無いのだが、セイルの話で滑空ではなく完全に自由飛行が可能らしく、SF世界と名付けた通りセイルの世界は凛一が住んでいた二十一世紀の地球よりも遥かに科学が発達しているようだ。
「…………うーん」
アークの白いボディにはライオンやトラ、ドラゴンを模したような飾りや砲身はおろか突起やドリルもついていない。
頭もヘルメットを被った兵士のようでツノや兜は無い……つまり……
「リアル系か」
先程ドリルやロケットパンチは無いのか聞いてセイルに笑われた事からスーパー系の説明はしたがセイル曰く「そんなの実践で役に立つわけねーだろ」との事。
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