第94話 俺、マスターに未来を相談する

俺はもう一つ聞いておかないといけない事を質問した。


「実はもう一つ相談があるんですけど、SRスーパーレア『予知』使ったら俺のワールドが滅亡してる未来が見えたんですけど、これってどうすれば良いんですかね?」

「え?それってどんな状況なの?」


マスターはそれこそ今日一番という位の驚愕の顔で俺を見た。


「いや、なんかですね、俺のワールドが変にハイテクに進歩して自分達の作った兵器で滅亡しちゃったんですよね。それで、どうにかその未来を回避したいという・・・。」


俺は戦車やミサイルが登場した話をすると、マスターも腕を組んで考え込んだ。

「そっか。あったのね、SFワールド。まさか付属してるマナを入れないでワールド作るなんて考えもしないわよね。」


SF、なのかは謎だけど正直俺もそう思う。

普通ついてたら入れるよな。というか俺だってあのマナまき散らし事件さえなければ普通に全部入れてたのに。


「・・・それにしても、常之ちゃんのワールドの人間は人のワールドで魔王になって世界征服しかけるとか、自滅する程の兵器が出てくるとか、色々と特殊よねぇ。」

マスターはため息をつく様に言った。

俺もそれに同意せざるを得なかった。正直こんな特殊性全く求めてなかったけど。


「まぁ、特殊かどうかは置いておくにしても、俺、どうすれば良いんですかね?」

「そうねぇ、一般的にはって話だけど、望まない未来につながる原因をいくつか探して、それをイベ書で取り除くのよ。」


おお、なんか期待できる話だ。

「その、原因を探すってどうやるんですか?」

「そこはエージェントに頼んで原因と思えるものをどんどんピックアップしていって、それを全部変えていく感じかしらね。例えば国王同士が仲が悪ければ仲を取り持つ様なイベントを起こすとか。」


やっぱエージェントが働かないと何も対処できなそうだな。

というかやっぱアマテラスの仕事じゃねぇか!


「でも、上手く回避できない事もあるから、それくらいのイベントの時は何度か確認できる様にした方がいいわよ。私の方に『予知』が手に入ったら常之ちゃんの為に取っといてあげるわ♡」


確かに、イベ書を使った所で効果があったかどうかは確信が持てない。特に俺のワールドは。なので『予知』がある事は凄く良いことだ。


「マスターありがとうございます!」

「ただし、ママって呼ぶようになったらね♡」

「ぐぐぅ。マ、マ、ありが、とう、ござい、ます。」


俺は強制させられる屈辱とママというなんか口にするのが恥ずかしい響きを口にした羞恥心で赤くなった顔を見られない様にそそくさとカウンターに入った。


それから木花さんと増田も来たところで、ユニットのトレードの状況を共有した。

マスターのワールドでも俺のユニットの何人かは無事魔王になったらしい。

おかげで均衡が取れたとマスターは喜んでいた。

まぁ継続的にユニット送り続けないとすぐに均衡くずれちゃうんだけどね。


増田のワールドはだんだん均衡が取れて来たみたいで、目論見通りワールドのボトムアップができているらしい。

今は3体の人間の魔王がいて、その内の一体がかなり凶悪で苦戦しているとの事だが、ようやく魔王とも渡り合えるユニットが出てきた様だ。


それにしてもなんだろう、魔王になるとか力を持ちすぎると欲が出たとかそんな話なのか?それとも本当に俺のワールドの人間だからそんな事になるのか?


そういう事で、大体の傾向は見えたため、木花さんのワールドにも俺のユニットを送ってやる事になった。木花さんが子供みたいにはしゃいでたのが印象的だ。


マスターも増田も俺のユニットの活躍でランキングをかなり上位まで押し上げていた。マスターは遂に4000番台で増田も既に10万番内入りしている。

増田なんかかなりのチートなスピードだ。マスターのランクを考えれば1万以内も時間だけの問題だろう。


それに対して俺はと言えばパーティー戦は今の所全く見込みがない。キャッスル戦も100万番内までは目指せそうだが、そっから先は厳しそうだ。

正直二人が羨ましいがまぁ俺だってキャッスル戦でそこそこ上手く行ってるんだし、イベ書をもらってるわけだから文句は言うまい。


それから俺はバイトを終わらせて帰る準備をしていた。

俺は控室でマスターからもらったイベ書を持ってきていたカバンに入れながら思った。マスターはほぼ毎日10個程のイベ書を用意してくれるのだが、一体どうやってこれだけのイベ書を調達してるんだろうか。CコモンUCアンコモンが殆どとは言え、毎日3万スコアを使ってるとも思えないし。


よくよく考えるとマスターもかなり謎の人物だよな。


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その頃、増田のワールドでは勇者パーティーが魔王の玉座へとたどり着いていた。

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