#035 S,O,M,A,G, ARE GO

 特別作戦傭兵連隊S,O,M,R,が、特別作戦傭兵軍集団S,O,M,A,G,となったのは2年後だった。その頃になると、約5000人規模だったが、今や10万人の女兵士を抱える大規模な集団になった。


 英語での記載をSPECIAL OPERATION MERCENARY ARMY GROUPと表記する事になったので、それに伴って下部組織である治安維持隊も略称を与える事となった。


 考えついた略称は{SECURITY CORPS}だ、つまり警備隊。護衛や治安を護るという意味だ。


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 特別作戦傭兵軍集団となって3カ月が経過した。


 今、アルトリア・ラーミスとカトリーナ・メルフォンは結婚を前提としたフォルシア王国内デートをしている。


「――いらっしゃいませ~」

「こっちの蝙蝠こうもり焼きは美味しいよ~」

「そこの若いカップルさん、これなんかどうだい?」

「安くしておくよ~! さぁ、買って行って!」


 カップルと言われたカトリーナは顔を赤くして、アルトリアの右袖を引っ張って来た。


「ん? 欲しいのか?」

「・・・!(コクッ)」


「分かった。 ああ、そう言えば・・・アレを渡していなかった。ちょっとだけ、待って居てくれるか?」

「・・・え?」


 アルトリアは活気のある商売路に走って行き、5分後には蝙蝠こうもり焼き2つと小箱を手にしていた。


 そして、「カトリーナ・メルフォンの勇士に惹かれた俺は、幸せだ。だから、その・・・俺で良ければ、一生一緒に過ごしてくれるかな?」と小箱を開けて中身を見せた。


「これって、ゆ――指輪?」

「すまん、渡そうと思って居たら遅れた」


 直後、カトリーナが「嬉しい・・・! もちろん、イエスよ!! どんなことが有ってもずっと貴男あなたそばに居るわ!」と嬉し涙を流してアルトリアに抱き着いた。


 道行く人たちにその光景を見られていたのか、拍手喝采はくしゅかっさいで祝われた。


 3日後、フォルシア王国の婚儀場で盛大な披露宴が行われた。その参加者に“神速の剣乙女”であるエフォート・リスタが居た。


「――おめでたい日だね、アルトリア」

「ああ、まぁ。そうだね」


「暫く顔を合わせて居なかった理由を聞きたいでしょ?」

「ああ」


 すると、微笑みながら「私、暫くこの国を出る事にしたの」と言った。


「「・・・え?」」


++++++++

 エフォートの衝撃発言に二人で固まっていると「だって、好きな人が結婚したのならこの国に居る必要なんて無いから」と寂しそうな声で呟いた。


「「・・・えぇ~・・・」」


 その後、何事もないかのように立ち去って行った。


「な、なんだ・・・? 一体・・・」

「・・・ねぇ。あの子、もしかしたら貴男あなたに惚れていたと思うよ?」


「嘘でしょ?」

「女を舐めないでね?」


「――はぁ・・・。 分かったよ」


 時は流れて行き披露宴ひろうえんが終わりに近づいて来た時、特別作戦傭兵軍集団S,O,M,A,G,の隊員が常備している無線から『未確認軍隊が高速で接近中! ご命令を!』という内容が飛んできた。


「「・・・――!?」」


 会場に居た隊員達は一斉に立ち上がり、アルトリア・メルフォン・ラーミスとカトリーナ・メルフォン・ラーミスの方を向いた。


「どうするの?アル」


「・・・総員、警戒をげんとしろ。 偵察小隊は速やかに敵戦力を報告、航空機部隊は緊急発進ホット・スクランブル用意で待機!」


「了解しました。 各駐屯地へ連絡、戦闘配置に着け!」

「「はい!!」」


 アルトリアは更に、この場に居る人達を要人として参加している治安維持隊に要人保護という任務を与えた。


「治安維持隊に緊急任務を与える、ここに居る人達を要人として彼らの護衛又は警護に当れ! カトリーナは、治安維持隊の指示に当たってくれるかな?」


「え、えぇ。分かったわ」


 披露宴会場はすぐに静かになりかけたが、無線から『未確認軍隊は、空挺部隊を所持! また、王城を占拠した模様!』と言う報告が入ってきた。


「――FUCK OFF!(クソッ!)」


 しかし考えて居る暇がない事は、明白だったのですぐに9×19ミリパラベラム弾を30発フルオートで撃てるMAC-10を装備し周囲を警戒している治安維持隊の各員にハンドサインを飛ばした。


 内容は、〔空挺部隊に備えて、二人一組で警戒に当れ〕という内容だ。


「――こちらJACKAL、敵の海軍は戦艦を主力としているか?」

『はい、そうです。 戦艦と航空母艦を主力とした大規模艦隊が無人島に接近中です!』


「そうか・・・、わかった。 海軍基地と航空基地に非常警報発令、速やかにコレを撃沈せよ!」


 カトリーナの目を見て二人は同時に頷き、アルトリアは「行ってくる、前線Frontlineに」と言ってカトリーナの左頬にキスした。

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