#016 ロックンロール
「――ギャアァァァァ!」
直後、1人の生徒から悲鳴が聞えて来た。
「急所は外しているから蚊に刺された程度のはずだが・・・おっと、左肩に命中していたか」
四倍率照準器越しでは遠くの敵は見えづらいが、前世の視力は2,0ほどだったしかし今は、2,8にまで向上した視力の身体だ。造作もないさ。
「――ど、どこからだ⁉」
その間に5人の女生徒達は隙を見て逃げ出したのを確認したので、暴れる事が可能になった。
「さぁ、楽しくて少々トラウマを植え付けてしまうかもしれないショーの始まりだ」
屋根から飛び降りて五点接地した後、すばやく照準を定めた。その間に俺に気が付いた男子生徒達が殴ろうと駆け込んできたので迷っている間もないまま、引金にかかった指を宛がい引こうとした時さっきの女生徒達が教師を引き連れて戻って来た。
俺は速やかに壁をよじ登り、屋根に上りきると夕焼けに影を落とした。後日、ナンパをしていた男子生徒5人は魔法学院を謹慎処分されたが、1人の足首にある弾痕が
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五日後、学院の男子寮で俺はM16A1の改良型であるM16A2を整備していた。
A1からの改善点としては6つほどあり、1つ目は照準器をそれまでのL型2段階切り替えからダイヤル方式の多段階調整式に変更した。
2つ目は、フロントハンドガードを三角断面の左右分割形状から、円断面の上下分割形状に変更。上下対称形のため、ハンドガードに左右で別形状の部品を必要としたM16(A1)よりも部品の種類がひとつ減ることになる。材質もナイロン系の高強度プラスチックに変更された。
3つ目、排莢反射突起カートリッジ・ディフレクターを追加した。これにより排莢孔後方に突起を付すことで、排出された空薬莢が後方ではなく真横から斜め前方に落ちるため、左利きの射手でも使用しやすくなった。
4つ目、弾薬の節約及び点射による命中精度向上のため、フルオート機構から
5つ目、銃床ストックの形状を変更し、長さがA1より少し長くなった。材質もナイロン系の高強度プラスチックに変更された。
6つ目、消炎制退器の側面スリットを、外周の上半分だけとした。火薬ガスが上方向に噴出するため、射撃時に銃口が跳ね上がるのを緩和し、また、砂塵を巻き上げにくくなった。
以上の改善点により命中精度が向上したと判断して試射に移ったが、新たな改善点が露出した。それは、主に三点射に対してだが“命中精度にバラつきがあり、使い勝手が悪い”という事だ。なので、A2として使用していくが早くもA3の必要性が早まった。
しかし、整備兼開発中に寮長に呼び出された。内容は、果たし状だった。
「(ガドラック・・・? 知らない名だ)」
「あなた、男爵家の息子さんを怪我させたみたいだけど?」
「(ああ、なるほど。ガドラック男爵と言う名前か、強そうな家名だが息子だな。うむ、怖くない)――あのナンパは向こうがしたので僕は関係ないですよ?」
「と・に・か・く! 今すぐ行きなさい、場所は演習場だってさ」
「はーい」
自室で分解整備していたM16A2を組み立てて、飛び出し指定された場所に向かった。
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演習場でタイマンだとうんざりしていたが驚きを通り越して呆れた、この学院に。たかが生徒の勝負に他の生徒や教師らが観客席にいるのだから。おそらくだが、誰かが果たし状の事を言い触らし――・・・いや待て、予想だがニヤニヤしているガドラック男爵の息子が怪しい。
「――よぉ、腰抜け! 逃げずに来たのか、ヒャハハッハ‼」
確定だ、こいつが自らの公開処刑に観客を呼び込んだ。
「まさか・・・」
「驚きで言葉も出ないのか? ハッ、哀れだな」
「・・・(いや、キミへの哀愁で言葉が出ないのさ)」
さぁ、哀愁漂う全力射撃ロックンロールにしようか。
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