#003 出会い

 8歳になると児童冒険団という小規模なギルドに入れるとしになったので両親に懇願すると父は大賛成だが母は心配性が出てしまった。


「辛くなったら家に帰るのよ、寝るときはお布団を――。 それから・・・」


「母さんは心配性だなぁ・・・」


「だって、自分の子供が魔物に食い殺されるかもしれないのよ⁈」

「――大丈夫ですよ、必ず生きて帰りますので。お母様」


 アルトリアのこの言葉に少し困惑した表情をした両親に気づく事なく家を出て、児童冒険団のギルドがあるリスタという隣街にやって来た。


++++++++


 しかし、そこで早速――厄介事に絡まれた。正確には、己の武勇伝を嬉々として語り合っていた2人の少年の間を、今後を考えながら通過してしまったのである。こちらに完全に非があるため何も言えないが・・・。何も言わない俺を勝手に小心者と決めつけて優位だと錯覚している少年2人を俺から見れば滑稽こっけいだと思う。


「おい、ガキ。今、俺達の自慢話を遮ってくれたよなぁ?」

「――どう落とし前を付けるつもりだぁあ?」


「・・・」


「何とか言ったら、どうなんだよぉお? オラァ!」


 力を見せつけるようにして頬にパンチをしてきたが、全然痛くない。寧ろ、子供ならこれぐらいだろう。


++++++++


「――俺がガキか・・・、へぇー」


 あまりに滑稽で、つい口が滑った。


「「あ?」」


 少年2人に鋭く冷たい睨みを飛ばしこっそりと護身用に持っているコルト・パイソンが納められているホルスターに右手が差し掛かった時、少女の声が表通りの方から聞こえて来た。


「ちょっと、待ちなさいよ!」


 髪色はブロンズで瞳は青色で、背丈より短めな短剣を腰に下げた少女が堂々とした佇まいで立って居た。


 これが後に、世界中で知らない者は居ないと言われる2人の出会いの起源である。

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