どたんば逆転お笑いバトル

お題場からここへ来ました

第1話 苦労芸人対AIロボのお笑いバトル

これは近未来のお笑い勝ち抜きバトルの実況です。

今年も人間とAIロボットのピン芸人ナンバーワンを決定するHA-1グランプリがここ長野市オリンピック記念アリーナにて3月の第一日曜に開催の運びとなりました。予選を勝ち抜いたヒューマン代表の(ドッテン解明)はその名の通り、故郷北海道から15年前、親の反対を押し切って出てきた現在38歳、芸歴15年、今まで鳴かず飛ばずで最初の芸名(おしくら饅頭北海道)から何度も改名を重ねて、クイズ形式のお笑いネタの

「それ、おいらが解明!」と叫び、これが、受験生を中心にブレイクしこの場に立っている。対するAIロボ代表の(おら、サンタかも)は、辛辣な人間に対する風刺ネタ、例えばこんな「わしら、AIロボがあんだけ忠告したんに人間のアホが、温暖化で南極の氷を全部溶かしてしもて、もう今はかっての首都東京は30年前に半分海の中、今や日本の首都はここ長野県や。」これが、AIロボ達に受けて大ブレイク、自虐的な人間にも受ける始末だ。そう、日本人いや日本人といっても半分はロボだが。少子高齢化は止まらなかった。

さあ、ドッテン解明の決勝の得点は500点満点中の480点。この審査の採点方法は、人間の審査員が2名、AIロボの審査員が2名、各々各100点の持ち点。審査員長がもう一人、こちらは人間の芸歴50年の大御所である。さあ、おらサンタかもの得点はなんとこちらも480点。同点です。こんな場合、審査員長の大御所の判断に一任のルールになっている。さあ勝負の行方はどうなんでしょう。勝ったのはどってん解明。大御所自らの解説をお聞きください。『えー、今回の勝負はまれにみる名勝負でした。皆さんに採点方法につき、少しご説明します。会場の観客はこの会場にお越しの人間50名、AIロボ50名の合わせて100名の皆さんです。審査員のAIロボ2名はご来場の皆さんの笑い声の音量を計り、それを元に審査しております。問題はここです。会場の皆さんの中で2名分の笑いが、笑いの音量には含まれておりません。人間の笑いというものは、それは様々です。高笑い、作り笑い、苦笑い、思い出し笑い、様々な笑いがありますが、今回音量計測から漏れたのは、泣き笑いです。観客席の最前列の女性お二人、ドッテン君の芸の途中から、笑い声が涙声に変わっていくのを私は見逃しませんでした。』すると突然、どってんが叫んだ。母ちゃん、姉ちゃん!俺ついにやったよ!どってんは会場の女性二人に歩み寄り大声で泣いた。ひとり親で苦労をかけた母に恩返しが出来た瞬間だった。

大御所が最後を締めた。『えー、お集りの皆さん、このような結果になりましたが。まだまだ、AIの採点方法には改善の余地があります。のう、システム開発の野田君』

『大御所のおっしゃる通りでございます。肝に銘じて、今後のAIの開発に日々邁進してまいります』 会場に居合わせた野田が答えた。

人間とAI,まだまだ長いお付き合いになりそうである。










                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

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