第556話 前半戦終了とオールスター休み

 いよいよ前半戦が終わった。

 札幌ホワイトベアーズは86試合を消化して、45勝37敗4引分で京阪ジャガーズと並んで2位につけている。


 首位は岡山ハイパーズであり、その差は1ゲーム差。

 つまり上位3チームはわずか1.0ゲーム差にひしめいている。

 なお4位川崎ライツとは、2.5ゲーム差となっており、やや差が開いているが、ここまではまだ優勝圏内と言えるだろう。


 その下は5位の熊本ファイアーズが首位と10.5ゲーム差、最下位の仙台ブルーリーブスは同12.0ゲーム差となっている。

 この2チームは優勝には黄色信号が灯っている。


 明日からはいよいよオールスター。

 しかも第一試合目は地元開催であり、恐らくファン投票で選ばれた僕はスタメンだろう。


 え?、僕の前半戦終了時点での個人成績はどうかって?

 知りたいですか?

 

 83試合に出場し、332打数101安打の打率.304、ホームラン7本、打点30、盗塁33(盗塁死8)。

 ワー、パチパチパチ。


 すでに昨シーズンの安打数93を越えており、ホームラン、盗塁数は自己最多を更新中である。

 特に盗塁はリーグ2位タイであり、1位とも一つ差である。


 打率も再び3割に乗せ、リーグ4位。

 首位の水沢選手とも.012差なので、こちらもまだまだ可能性はある。


 数字的にも我ながらリーグ屈指のリードオフマンと言えるのではないかと思う。

 ちなみにグッズの売れ行きもチームで1、2位を争っているそうだ。

 今や僕は自分で言うのも何だが、人気実力を兼ね備えた選手となっている。

 というような、調子に乗ったことを言うと、またケガをしたり、スランプに陥るのが、パターンなので、気を引き締めてオールスター、そして後半戦に臨みたい。


 さて今日からはオールスター休み。

 と言っても4日間しかなく、僕はオールスターに選出されているので忙しい。


 だが今年の1試合目は、札幌ホワイトベアーズの本拠地のどさんこドームで行われるので、自宅から行くことができる。

 今回は結衣と翔斗、そして妹夫妻と僕の母親、結衣のご両親も観戦に来る。

 是非、爪痕を残したい。(良い意味で)


 練習、そしてミーティングを終え、ベンチに入ると、どさんこドームは、色とりどりのユニフォームを着たお客さんで超満員だった。

 さすがオールスター。

 いつもよりも華やいだ雰囲気を感じる。


 今回のオールスターで札幌ホワイトベアーズから選ばれたのは、青村投手、鬼頭投手、ルーカス投手、そして谷口だ。

 谷口は監督推薦で、オールスター初選出となった。


 性格的に辞退するのかと思いきや、しっかりと喜んでいた。

 オールスターに選ばれるというのは、谷口のような唐変木でも嬉しいものらしい。


 試合開始30分前になると、スタメン発表がされる。

 今日の試合はスカイリーグが先攻であり、札幌ホワイトベアーズが属するシーリーグは後攻である。


 よってまずは先攻のスカイリーグのスタメン発表があり、いよいよシーリーグのスタメン発表となった。

 

「1番、ショート、高橋。

 札幌ホワイトベアーズ」

 いきなり球場内から大きな拍手と歓声が巻き起こった。

 僕としても地元開催で、スタメン出場できるのは、プロ野球選手冥利につきる。

 そしていくら天の邪鬼な僕でも、これだけの声援を頂けたのは素直に嬉しい。


 華やかな試合前のセレモニーが終わり、後攻のシーリーグの選手が守備につく。

 守備につきながら、サインボールをスタンドに投げ入れる。

 今日は特別に10個投げ入れた。


 また今日のスタメン全員のサインが入ったグッズも制作されるので、試合前はかなりの数のサインを書いた。

 腱鞘炎になったらどうしてくれるんだ、と広報の新川さんに愚痴ったら、「じゃあ辞退するか、今からでも遅くないぞ」と嬉しそうに言われた。


 ところで新川さんは何故かわからないが、いつも胃薬を飲んでいる。

 何か辛いことでもあるのだろうか?

 

 有名な若手美人女優の始球式が終わり、いよいよプレイボールがかかった。

 さあこっちに打って来い。

 僕は腰を低くした。

 

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