第495話 優勝旅行inHAWAII
作者はハワイはおろか、グアムにも沖縄にも行ったことがない。
(当然、フロリダも)
だから南の島の描写は書けない。
よって、高橋隆介選手は優勝旅行直前にインフルエンザに罹患して、行けなかったことにする。
「お前な、プロ野球選手になったこともないのにこれを書いているだろう。
その理屈では、ミステリー小説の作家は全員犯罪経験者だし、歴史小説というジャンルは存在しないだろう」
高橋隆介選手にそう言われた。
確かにそうかもしれない。
いや、正直に言う。
ハワイに行く高橋隆介選手が妬ましくて書きたくないのだ。
いいな、ハワイ…。
いつか行きたいな…。
「いいから続きを書けや。
お土産買ってきてやるから…」
まあそれで手をうつか…。
続きを書きます…。
でもいいなー、羨ましいなー。
ワクワクが止まらない。
いよいよ明日出発だ。
ガイドブック良し。
水着良し。
ゴーグル良し。
トレーニングウェア良し。
僕は一つ一つ確認しながら、トランクに荷物を詰めている。
ハワイに行くのは、結婚式を挙げて以来、2回目であるが、あの時は何かと忙しくゆっくりくつろげなかった。(195話)
僕は荷物の最終チェックをしていた。
今回の優勝旅行は一週間の予定だ。
もちろん結衣と翔斗も同行する。
谷口も奥さんと子供を連れて来るし、五香選手も結婚したばかりの奥さんを同伴する。
ハワイには新千歳空港からチャーター機で向かう。
飛行機に乗り込むと、客室乗務員の方もハワイをイメージした服装をしており、機内は搭乗時点から何となくリゾート気分が漂っている。
「ワイハ♪、ワイハ♪」
機内食も南国をイメージしたカラフルな特別食だ。
ナッツ入のサラダ、ロコモコ、パンにアイスクリーム。
翔斗にも子供専用のメニューを出してもらって、美味しそうに食べていた。
なぜだろう。
子供が美味しそうに食べているのを見ると、幸せな気持ちになる。
「ワイハ♪、ワイハ♪」
ハワイに近づくと、飛行機の窓から、美しい青い海と緑で彩られた島々が見えた。
写真で見た憧れの景色が眼下に広がっている。
否が応でもテンションの高まりを感じる。
「ワイハ♪、ワイハ♪」
飛行機はほぼ定刻で、オアフ島の空港に到着した。
飛行機を降りると、暖かい空気に包まれた。
到着前の客室乗務員のアナウンスによると、今日の気温は約26℃ということだった。
スマホで調べると、作者の住む札幌の今の気温は、マイナス5℃。
まるで異世界だ。
日の入りの時間も異なる。
札幌の12月は15時を過ぎると、夕方となり、16時を過ぎるとかなり暗くなる。
しかしハワイの日の入りは18時頃らしい。
まあその分、初夏の札幌は日の入りが遅いが。
空港からは何台かのバスに便乗して、ホテルに向かう。
今回の優勝旅行は総勢で250人ということだ。
選手、首脳陣、球団職員、スタッフとその家族。
旅費はもちろん球団持ち。
やっぱり優勝して良かった。
改めて実感する。
ホテルまでの道のり。
車窓からは写真や映像を切り取ったような風景が広がっている。
南国特有のヤシの木や、その間から見える青い海。
今日は空も青く澄み渡っており、南国の光を浴びて、建物も光り輝いている(ように見える)。
道を歩く人々も何となく楽しそうだ。
ホテルに着くと、ロビーで現地での過ごし方についての説明があった。
初日の夜は球団主催のウェルカムパーティがある。
部屋に荷物を置き、ウェルカムドリンクとクッキーを頂き、少し休憩した。
結衣と翔斗と会場に行くと、選手もいつもと違うリラックスした服装、表情をしている。
まさに戦士の休息。
パーティはピンクの派手なシャツを着た、大平監督の発声で始まった。
「皆さん、ハワイはいかがですか?
チームが優勝できたのは選手の頑張りはもちろんの事ですが、スタッフ、裏方さん、球団職員の方。
そしてそのご家族の支えがあってこそです。
今日から約一週間、英気を養って、また優勝して来年も来ましょう。
そしてあまりハメを外しすぎないように。
まあご家族もいらっしゃるので、大丈夫だとは思いますが…」
何で周りの方々、僕の方を見るんですか?、失敬な。
翌朝は朝日を浴びながらのランニングからスタートした。
そして人気のないところでの素振り。
ホテルにはウェイトトレーニング室も完備されているので、鈍らない程度に身体を動かす事ができる。
覗くと谷口がいた。
ハワイでも病気は治らないようだ。
午前中は家族でビーチを散歩し、午後は海遊び。
翔斗もトコトコと砂浜を歩き、波際でかがんで、砂に何かを書いている。
結衣はパラソルとチェアを借りてのんびりしている。
たまには結衣を休ませて、翔斗の面倒を見るのも良いだろう。
その翌日はバスでのオアフ島観光。
ダイヤモンドヘッドに行き、山頂まで登った。
ダイヤモンドヘッドとはお茶碗を逆さにしたような形をした山であり、山頂まではちょっとしたトレッキング気分で行ける。
山頂からの景色の素晴らしかったこと。
そして爽やかな風が、少し汗ばんだ身体を冷やしてくれた。
最高の気分だ。
是非、この気分を作者にも分けてあげたい。
そうだ、お土産でハワイの空気を詰めた缶詰を買っていってあげよう。
(いりません。作者より)
というようにハワイ旅行を満喫した。
もう少し滞在したい気もするが、一方で来季に向けて身体を動かしたくなってきた。
さあ来年も来られるように頑張ろう。
遊び疲れたのか、帰りの機内で熟睡している結衣と翔斗の寝顔を見ながら、そう思った。
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