第399話 今季初スタメン

 岡山ハイパーズ三連戦も、札幌ホワイトベアーズは2勝1敗と勝ち越した。

 僕は2試合目で今季初めて、出場機会がなかった。

 

 3試合目は代走で出場し、ここまでチーム9試合中、8試合に出場し、2打数1安打。

 ここまでセカンドはロイトン選手、ショートは湯川選手が全試合スタメン出場しており、二人共打率が3割を越えている。


 レギュラーが固定されていると、チームも強く、ここまで7勝2敗と京阪ジャガーズと並び、首位に立っていた。


 次の対戦カードは、ホームでその京阪ジャガーズとの首位攻防の二連戦だったが、1勝1敗と互いに譲らなかった。

 僕は2試合目に代走で出場しただけだった。


 そして今日からはホームでの仙台ブルーリーブスとの三連戦。

 僕は今季初めて、セカンドでのスタメンを告げられた。

 

 相手先発が左腕の松島投手であるため、右打者の方が有利であること。

 また、ロイトン選手を休ませるという意図があるのだろう。


 理由がどうであれ、スタメン出場は嬉しい。

 このチャンスを活かして、出場機会を増やしたい。

 今日のスタメンは以下の通り。


 1 湯川(ショート)

 2 高橋(セカンド)

 3 道岡(サード)

 4 ダンカン(指名打者)

 5 下山(センター)

 6 谷口(レフト)

 7 西野(ライト)

 8 武田(キャッチャー)

 9 バーリン(ピッチャー)


 僕は2番セカンドとしての出場だ。

 セカンドのスタメン出場はいつ以来だろう。

(作者へ。後で調べておいて下さい)


 そして先発は新外国人投手のバーリンだ。

 大リーグ通算12勝の左腕で、190cmを越える長身から、威力のあるストレートとカットボール、ツーシームが武器の投手。

 今日が来日2試合目の先発であり、前回登板は5回1失点で勝ち投手になっていた。


 1回表、バーリン投手は、仙台ブルーリーブス打線を三者凡退に抑え、意気揚々とベンチに引き上げた。

 セカンドには平凡なゴロが一つ飛んできたが、正面に回り込んで慎重に捌いた。


 その裏、湯川選手は松島投手の初球を捉えたが、センターライナー。

 最近は良い当たりが、野手の正面をつくことが多くなっており、これで打率も3割を割ってしまった。


 そして2番はご存知、蒼き旋風、高橋隆介。

 湯川選手が1球で終わってしまったので、ここは粘って、球数を投げさせたいところだ。


 初球。

 松島投手の代名詞である、外角へのスクリューボール。

 ストライクゾーンギリギリにも見えたが、僕は見逃した。

 判定はボール。

 ラッキー。


 2球目。

 またしてもスクリューボール。

 これはストライクゾーンに入っている。

 僕は右方向にうまく追っつけた。

 だがやや右に切れて、ファール。

 カウントはワンボール、ワンストライクとなった。


 3球目。

 内角へ食込むスライダー。

 やや仰け反って避けた。

 もちろんボール。

 ツーボール、ワンストライクのバッティングカウントとなった。


 4球目。

 外角低めへのストレート。

 遠く見えたので見逃したが、判定はストライク。

 追い込まれたが、ここからが僕の真骨頂だ。


 5球目。

 外角へのスクリューボール。

 ファールで逃げた。


 6球目。

 内角低めへのスライダー。

 ボール気味にも見えたが、これもファールとした。


 7球目。

 真ん中低めへのチェンジアップ。

 やや裏をかかれたが、辛うじてバットには当てた。

 ファール。

 カウントはツーボール、ツーストライクのまま。


 8球目。

 外角へのスクリューボール。

 これもファール。

 さあ次はどうする?


 9球目。

 内角高めへのストレート。

 見送ってボール。

 フルカウントとなった。


 そして10球目。

 内角低めへのチェンジアップ。

 外角への意識があったが、これもバットに当てた。

 ファール。


 パワーで湯川選手、ロイトン選手には叶わない。

 だから僕は僕の持ち味を活かしていくしかない。


 11球目。

 外角へのスクリューボール。

 見送ってボール。

 フォアボールを勝ち取り、僕は軽やかな足取りで、一塁に向かった。


 そして塁に出たら、うるさいランナーに変わる。

 牽制球を立て続けに3球受けたが、余裕をもって帰塁した。


 バッターは道岡選手。

 ここまで打率は二割そこそこと今季はまだ調子が上がっていないが、それでもきっとシーズンが終わる頃には、3割近くまで数字を上げてくるだろう。


 ベンチのサインはグリーンライト。 隙があれば盗塁したいところだ。

 

 

 

 

 

  

 


 

 

 


 

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