第251話 パクリではなくオマージュです

 ここで迎えるバッターは、1番に帰って、宮前選手。

 マウンドには、左腕の新宮投手。

 一塁ランナーの山形選手と三塁ランナーの僕は俊足。

 ということは?


 山形選手はあからさまに大きくリードを取っている。

 投げちゃダメ。

 もちろん良くわかっているだろう。

 しかし左ピッチャーにとって、目の前でこれだけ大きなリードをされると、わかっていても本能的に牽制球を投げてしまうのだ。

 

 もちろん一塁に投げた瞬間に僕はホームに突っ込む。

 山形選手は飛びだし、一二塁間にうまく挟まれている。

 一塁のビドル選手はちらっとホームを見たが、間にあわないとあきらめて、二塁に投げた。

 山形選手はアウトになったが、その間に僕は生還し、これで4対1。

 日○ム?、○庄監督?

 何ですか、それ?

 パクリではありません。

 オマージュです。


 何はともあれ、2点の追加点をもらった児島投手は5回表にきっちりとソロホームランを2本打たれた。

 あのー…。


 5回裏の攻撃は三者凡退に終わり、グラウンド整備とチアガールであるチームブラックスのパフォーマンスの後、6回表のマウンドにも引き続き児島投手が上がった。

 4対3と点差は1点。

 この回もツーアウト二塁のピンチを背負ったが、何とか無失点に切り抜けた。

 この回もライト前に抜けそうな難しいゴロを難なく捌いた、セカンドの好プレーがあったことを付け加えておく。


 6回裏は4番の岡村選手からの打順であったが、三者凡退に終わり、僕までは打順が回ってこなかった。


 7回からは勝ちパターンの継投に入る。

 児島投手は6回3失点のいわゆるクオリティースタート。

 エースとしての役割を果たしたと言えるだろう。

 倉田投手はランナーを1人出したものの、無失点に抑えた。


 そして7回裏は今日2打点を上げ、守備でもファインプレーを、連発した蒼き旋風からの打順だ。

 僕は今やトレードマーク(自称)となった、青いバッティンググローブを嵌め、今日三度目のバッターボックスに向かった。


 点差は1点のため、追加点が欲しい場面だ。

 そのための僕の役割は何としても塁に出ることだ。

 中京パールスのマウンドは亀山投手。

 ビハインドとは言え、1点差なので勝ちパターンでも登板する投手をつぎ込んてくる。

 ただでさえ、中京パールスは投手王国。

 良いピッチャーが揃っている。


 さてこの回、先頭バッターの僕はフルカウントまで粘ったが、9球目の低めへのチェンジアップを見逃し、三振を取られてしまった。

 うーん、ボールと思ったが、仕方が無い。

 際どいボールはファールで逃げるべきだった。


 この回は結局三者凡退に終わり、8回表の守備についた。

 8回はセットアッパーの山北投手。

 見事に三者三振で切り抜けた。

  

 8回裏は1番からの攻撃であり、ツーアウト満塁のチャンスを得たが、6番の水谷選手の良い当たりを、中京パールスの小田選手が好捕し、無得点に終わった。

 点差は1点差。

 ピンチの後には…。

 嫌な予感がする…。


 9回表のマウンドには抑えの切り札の平塚投手が上がった。

 だがこの試合、やはり一筋縄ではいかない。

 デットボールとフォアボールでノーアウト一、二塁のピンチを迎えた。

 バントの名手の関選手が見事に送りバントを成功させ、ワンアウト二、三塁のピンチ。

 バッターは、粘っこく、俊足の熊野選手。

 ここは1点もやれないということで、バックホーム体制を敷く。

 セカンドの僕はかなり前に出た。


 すると真芯で捉えた鋭い打球が僕の方向に飛んできた。

 一か八かジャンプした。

 打球はグラブの先に収まっていた。

 そして素早く二塁に投げた。

 ランナーはヘッドスライディングでセカンドに戻っており、セーフ。 

 ダブルプレーは取れなかったが、ツーアウト二塁、三塁まで持ってきた。

 あと一人だ。


 だがバッターは勝負強く俊足の小田選手。

 まだまだ油断はできない。

 

 

 

 

 

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