第248話 首位を相手に

 1回表は児島投手が三者凡退に抑えた。

 児島投手は今回はオールスターに選ばれなかったので、休養たっぷりで元気いっぱいだ。

 いつもより球が走っているように思える。


 1回裏の攻撃、いきなり先頭の宮前選手がツーベースヒットを放ち、額賀選手がきっちり送りバントで三塁に進めた。

 そして3番の岸選手がこれまたきっちりとライトに犠牲フライを打ち、幸先よく1点を先制した。

 続く岡村選手は三振に倒れたが、先制点を取れたのは大きい。


 2回表、ワンアウトから鋭い打球が一二塁間に飛んできたが、うまく反転しながら打球を捕り、難なく一塁に送球した。

 ファンの歓声が耳に届いた。

 やはりホームの応援は力になる。

 この回も児島投手が三者凡退に抑え、2回裏の攻撃を迎えた。

 

 2回裏は5番のデュラン選手からの打順だ。

 デュラン選手は大リーグ通算では26本のホームランを打った打者で、昨シーズンに入団して2年目だ。

 入団当初は変化球攻めに苦しんだものの、夏頃から順応し、シーズン通算で19本のホームランを放ち、今季の契約を勝ち取った。

 今季もここまでチーム2位の14本のホームランを打っており、欠かせない戦力になっている。(チームのホームラン1位は16本の岡村選手)


 デュラン選手はノーボール、ツーストライクからの3球目をコンパクトに右中間に打ち返し、ツーベースヒット。

 そして6番の水谷選手のファーストゴロの間に三塁へ進んだ。


 これでワンアウト三塁と追加点の大きなチャンスで、僕の打順を迎えた。

 デュラン選手は足はあまり速くないので、内野ゴロではホームに帰ってくるのは厳しい。

 悪くても外野フライを打ちたいところだ。


 中京パールスのバッテリーもそれがわかっている。

 だから三振か、悪くても内野ゴロ狙いで、低め低めに球を集めてくる。


 初球。

 外角へのスクリューボール。

 一度浮き上がってから落ちるように見える。

 当てても内野ゴロだろう。

 見送ったが、判定はストライク。


 2球目。

 外角低めへのカットボール。

 遠く感じて見逃したが、これもストライク。

 うーん、2球で追い込まれた。

 ここは三振だけは避けたい。


 3球目。

 またしても外角低めへのスクリューボール。

 これはさすがにボールだろう。

 見逃してボール。

 これでワンボール、ツーストライクとなった。

 徹底して外角低めへの配球だ。


 4球目。

 外角低めへのストレート。

 何とかバットに当てた。


 5球目。

 内角高めへのカットボール。

 辛うじてバットに当てた。

 見逃せばボールだったかもしれないが、見逃しの三振となった可能性もある。

 カウントは変わらずワンボール、ツーストライク。


 6球目。

 飽きもせずに外角低めへのスクリューボール。

 これも何とかファールとした。


 そして7球目。

 真ん中高目へのストレート。

 恐らく失投だろう。

 僕はこれを逃さず、思い切り引っ張った。

 

 ややバットの先であったが、打球はレフトに上がった。

 犠牲フライには充分な飛距離だろう。

 レフトの小牧選手の肩は平準並である。

 バックホームされたが、デュラン選手はやや余裕を持ってホームインした。

 これで2対0。


 8番の高台捕手は三振に倒れ、この回は1点止まりとなったが、今日の児島投手の出来なら2点あれば充分だろう。


 3回表。

 2点をもらった児島投手だったが、下位打線の7番、8番に連続してヒットを打たれ、ノーアウトランナー一、三塁のピンチを背負った。


 バッターは9番の関選手。

 守備位置はショートで守備の名手だが、打撃はあまり得意ではない。

 ここは当然、送りバントだろう。

 そして関選手はバントが上手い。

 絶妙のバントが三塁線ギリギリに決まり、水谷選手がダッシュして素手でつかみ取り、一塁に投げたが、セーフ。

 ノーアウト満塁の大ピンチとなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 


 

 

 

 

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