第247話 オールスター休みと後半戦のスタート
静岡オーシャンズには、ドラフト同期では杉澤投手、谷口、原谷さんが在籍している。
しかしながら、杉澤投手は昨年手術を受けてリハビリ中。
谷口と原谷さんは二軍にいる。
移籍から4年目となり、監督を初め首脳陣も替り、選手も半分近くは入れ替わっている。
3試合目の試合前に、グラウンドでアメリカでMVPの経験がある、静岡オーシャンズの東田GM(作者注:彼は経営学修士、つまりMBAの事を言っております)に偶然会ったので、少し話をした。
「泉州ブラックスでの活躍、嬉しく思っているよ。でも、静岡オーシャンズ戦ではお手柔らかにね」
「あのまま静岡オーシャンズにいても試合の出場機会は少なかったと思いますので、泉州ブラックスへ移籍して良かったと考えています」
東田GMは大きく頷き、「フリーエージェントの資格を取れるように頑張って」と言ってくれた。
もしフリーエージェントしたら、静岡オーシャンズは手を上げてくれるのだろうか。
さて静岡オーシャンとの三連戦。
僕は1試合目は出場機会は無く、2試合は守備固めで途中出場、3試合目はスタメン出場した。
合計で3打数ノーヒットだったものの、フォアボールを2つ選び、盗塁も一つ決めたので、それなりにチームに貢献したと思う。
7月も半ばを過ぎると、オールスター休みとなる。
結局、ファン投票はショートの5位であり、監督推薦でも選ばれなかったが、それでも5万票を超える得票があったのは嬉しい。
これまでオールスター休みの期間はみっちり練習したものだが、今回は首脳陣からは少し休むように言われた。
確かにこんなに一軍の試合に出たのは初めてであり、気づかぬうちに疲労が溜まり、それが先のスランプの要因となったのかもしれない。
だからオールスター休みの間は、体を少し動かす程度に留め、疲労回復に努めることにした。
休みの間、結衣に付き添って定期検診に行った。
お腹の子供は順調ということで性別も男の子とわかった。
無事にさえ産まれてくれれば、性別はどちらでも良いと思っていた。
結衣の妊娠がわかってから、自然と街の中で小さい男の子、女の子に目が行くようになったが、どちらも可愛いと思う。
早く会いたい。
予定日は10月初めという事だ。
その頃はポストシーズンに向けて、調整している…はずだ。
さてオールスター休みを終えると、シーズンも後半戦となる。
毎年の事だが、この時期になると特にピッチャーに疲れが出てくる。
僕はオールスター休みの間、体を休める事ができたので、元気いっぱいで後半戦を迎えることができた。
後半戦の最初のカードは、ホームでの首位、中京パールス戦。
ここで三連勝することができれば、まだ優勝争いに残ることができるが、もし負け越すようなら、優勝は絶望的である。
そんな大事なカード頭。
泉州ブラックスの先発マウンドには児島投手が上がった。
そして休養たっぷりで元気いっぱいの僕は7番セカンドでのスタメンを仰せつかった。
最近はショートでの出場が多かったので、セカンドでのスタメンは久しぶりである。
今日のスタメンは以下の通りだ。
1 宮前(ライト)
2 額賀(ショート)
3 岸(センター)
4 岡村(ファースト)
5 デュラン(指名打者)
6 水谷(サード)
7 高橋隆(セカンド)
8 高台(キャッチャー)
9 山形(レフト)
児島(ピッチャー)
中京パールスの先発は、ドラフト1位ルーキーの左腕、新宮投手。
ここまで5勝(3敗)を挙げており、開幕からローテーションを守っている。
ストレートとカットボール、そしてスクリューボールが持ち玉の投手だ。
特にスクリューボールには苦労するだろう。
さて試合開始時間となり、僕はセカンドの守備位置についた。
最近はショートでの出場が多かったので、セカンドから見る景色は久しぶりだ。
後半戦開始とは言え、平日のナイターとあって、お客さんの入は半分ちょっとか。
プレイボールがかかった。
僕は中腰になり、構えた。
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