第39話

優志が窓を開け、外を確認しようとしている所だった。



身を乗り出し、暗闇へと手を伸ばす……「やめろぉぉぉぉ!!!」



俺は大声で叫んでいた。



優志にかけより、その体を抱きしめる。



しかし……。



優志の体は闇の中へと引き込まれて行ってしまったのだ。



「あ……あ……」



嘘だ。



こんなの、嘘だ。



窓から後ずさりをする。



俺たちはもう何度も何度もここで死んでいるのか?



だとしたら、今の俺は一体……。



「少し、時間の早送りをしようか」



車掌がそう言い、指をパチンッと鳴らした。



すると、突然ドンッと言う音が聞こえてきて逆側の窓に優志の体が落下してきた。



みんなの悲鳴が響き渡り、右往左往しはじめる。



しかし、それはまるでDVDを早送りしているような状況なのだ。



前の車両へ続くドアを開けようとして失敗し、そしてみんなが体の異変に気づき始める。



それらの出来事があっという間に過ぎていく。



「おい……これ、どうなってんだよ」



混乱している間に愛奈と澪が窓の外に飛び出し、そして落下してきた。



朋樹が何かを思い出したように発狂し、顔を真っ赤にして苦しみ始める。



「おい!!」



俺は思わず朋樹に駆け寄った。



しかし、朋樹は俺に気づかない。



しばらくその場でもがいていた朋樹だが、やがて呼吸を止めてしまった。



「この空間はいわば録画された空間。今実際に起こっていることじゃない」



「朋樹は死んだのか!?」



「……全員、死んでいる」



車掌の言葉に俺は自分の死を、ようやく思い出していた。

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