第22話

マイクと通したような声は徐々に大きくなっていき、体の芯を揺さぶって来る。



あたしと愛奈は耳をふさぎ「やめて!!」と、叫ぶ。



しかし車掌さんは辞めてくれない。



何度も何度も同じ言葉を繰り返し、そして更にその声は大きくなっていく。



呪文のような言葉に、ついに朋樹が立ち上がった。



青い顔をしたまま雄たけびをあげて車掌さんへ拳を振り上げる。



「おぉぉぉぉ!!」



恐怖を振り払うように叫び、そして拳を振り下ろした。



その瞬間、朋樹の手は車掌さんの体をすり抜け、車掌さんはまるで霧のように消えて行ってしまったのだ。



唖然としてその場に立ち尽くす朋樹。



さっきまでの寒さはいつの間にかなくなり、正常な気温が戻ってきている。



ふとドアを見て見ると、そこもキッチリと閉ざされ前の車両には闇が広がっていた。



「今のは……なんだったんだ……」



誰もが茫然としたまま、旺太がそう呟いたのだった。

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