第12話



 12話



 今日はいつも通り普通に部活だからと、着替えた後にスタジオに行った。だけど、ダンス部の皆の雰囲気がなんかいつもとは違う感じがして、気圧される。


 何かあるのかと思い、阿部先輩に聞くとこの後大事な話があるから集まって話がある。と言われ俺たちは待機となった。


 何が始まるんだと、望まぬ想像をしながら待っていた。だけど、2年3年生は何をやるのか分かっている見たいで、ウキウキと言うか楽しみ!みたいな状態だった。


 本当に何の話をするのか1年生は何が始まるか分からない。

 それら少しして、部活が始める時間になった時心先輩が声を大きく話し出した。


「ダンス大会に出たい人!」


 するとその言葉を皮切りに、待ってましたと言わんばかりの速度で2年と3年は手を上げた。一年生は何のことなのか理解を出来ていない感じがする。


 え?大会?

 みたいな感じで。


 だって、急に「ダンス大会に出たい?」と聞かれても、決められる人は少ないだろう。


 それじゃあ俺はどうなっているのか。・・・もう手を上げていた。


 少しは悩んだが、結果として大会に出たいと思った、・・・正直まだ全然自身が無い。だって始めたのはまだ数えれるくらい前だ。そんな人に大会と言っても、訳が分からないだろう。


 だけど、・・・そんな事は一旦置いといて。俺はどうしたいのか。

 自身が無い。訳が分からない。それを取り除いたとき俺は大会に出たいのか。


 自然と手が上がった。

 心の中では決まっていた。ただ、言い訳を重ねていただけで。


 すると、俺が手を挙げた事をきっかけに勇気が着いたのか、一年生女子たちも一斉に手を上げだした。・・・小奈津さんは俺が手を上げる前にもう、手を上げていたみたいだ。


「みんながんばろうね。」


 ☆


「じゃあ、大会の事について少し説明するね。」


 横から回ってきたプリントには出るであろう、大会の名前と出場条件。とか費用とか諸々が書いてある。

 ・・・俺こういう物はあんま見た事が無いんだよな。全部田中さんが率先してやってくれていたから、俺が確認する事は無かった。何ともだらけていると思うかも知れないが、・・・否定が出来ないな。


「まず、私たちが出ようと思っている大会は日本高校ダンス選手権と言う。結構大きな大会です。ビッグクラスで参加するから、全員出れるのでちゃんと練習してね。」


 あ、こっちのスモールクラスじゃ無い方なのね。

 いや、全員で出ると1人1人の個性が無くなるから、でも、心先輩はそう言う全員でがんばろう系だよな。


 それなら、ビッグクラスだ。


「次に、演技時間は2分から2分30秒で短いと感じるかも知れないけど、この短い時間で全部出し切れるようにがんばろう!

 最後に!私たちは関東の大会に出るけど、出場する高校が240校もいる。この240校全部が私たちのライバルになる!これから、夏の7月20日までがんばろう!」


 ダンス部全体の熱は目標が出来た瞬間、一気に高くなった。


 ☆


「そう言えば小奈津さん。さっき大会に出るか出ないか聞かれた時で、凄い速さで手をあげてたけど、知ってたの?」


 よく見ていなかったが、俺が上げる前には小奈津さんはもう手を上げていた。衝動的に上げたのか、分からないが目は大会に出たいと言っているような感じがしたのだ。


「知らなかったよ?でも、大会には出たいじゃん。」

「あ~そっか~。」


 衝動的に上げたのか。・・・まあでも、ダンスの事しか考えていなかった時に、ダンス関連の事が耳に入ったら気になるから、そんな感じの事なのかな。


「光ヶ丘~。こっちこ~い。」


 スタジオの端の方から、のみっぴらい男性っぽい声がきこえてきた。阿部先輩に呼ばれた。


「じゃ、また後で。」

「(パタパタ)」


 ダンスの練習に集中したみたいで、声での反応は来なかったけど、軽く手を振ってくれた。


「阿部先輩どうしましたか?」


 先輩は端の方で練習している人の邪魔にならないように座ってた。・・・ちゃんと汗を書いているから、サボっているんじゃなくて休んでいるみたいだ。


「いやこの前、俺たち以外のダンスを見たいって言ってただろ?」


 前と言っても、1週間とかそのくらいだ。

 この前剛毅さんに連絡したが、今は忙しいみたいで手が離せないから、ダメだったので。代わりと言ったらあれだけど、阿部先輩の相談したのだ。


 実際に、阿部先輩も最初のころはいろんなダンスを見たくていろんな所に回ったらしくて、その時に仲良くなった友人に連絡を入れてくれたみたいなのだ。


「俺と同級生なんだけどさ、そいつが見せてくれるって。予定が空いていたら、教えてほしいんだが。いつ空いてる?」


 お!ちゃんと連絡をしてくれていたんだ。・・・正直自然消滅したのかと思ってた。


「今週だと、・・・いつでも空いてますね。予定が空っぽです。」

「ははは、それでも男子高校生かよ。まあ、分かった。決まったら教えるから。」

「ありがとうございます。」


 男子高校生って言っても、ラインは交換してなし授業が終わったら、一直線で部室に来てるから女がらみとかは無いんだよな。


 ・・・青春と言えばこれも青春だけど。





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