第10話
10話
ダンスの練習があらかた終わり水分補給の為に休んでいると小奈津さんは流していた曲をいじっていた。俺が選んでいた曲はどんなダンスでも踊れっるよ。っていう汎用性のある曲だったから、自分に合う曲に変えてくれるのは全然いいのだが、
基礎練とかはさっきの曲で完結できると思う。それなのに曲を変えると言う事は、、、まあ、そこまで深く考えない方が良いか。
「光ヶ丘さんは、ダンスに対してどんな感情を抱いてるの。」
踊る直前に、そう声をかけられた。
・・・どんな感情か。たぶんだけど、俺がさっき阿部さんのダンスを見た時に感じた「自分のダンス」をとはまた別の視点なのだろ。
俺は「自分のダンス」に対して、視点なんて言葉はうかばない。それなら、単純にダンスに対しての姿勢を聞いたのだろう。
・・・小奈津さんはもう踊りだしている。
何をしてくれるのだろうか。
・・・そんな風に思っていたのも束の間。・・・正直楽観的過ぎた。彼女のダンスにここまで魅せられるなんて思っても居なかった。
・・・終わった。・・・・なんか、綺麗だったな。
いや、ダンスの動き一つ一つは正直阿部先輩の方がしっかりしているから、きっちり出来ていた訳では無いんだろう。
だけど、俺は小奈津さんのダンスに、「綺麗」と言う感情を抱いた。・・・これがダンスに対する考え方の違いなのだろうか。それらな、ダンスの瞬間になった瞬間雰囲気が変わった阿部先輩はどの様な感情で踊っているのだろうか。
・・・まだダンスの事は全然分からない。ただ、今まで、俺がやってきたスポーツに比べて、自分というものを赤裸々に魅せ無ければいけない・・・気がする。
「綺麗でした。」
「!ありがとう。どんなところが良かったかな?!」
うぉ、なんか急に人懐っこくなった。
さっきまで少し硬く接されていたらか、そう言う人なのかなと思っていたけど、緊張していたのかな。
「えっと、全体的なあのうねうねした感じが良かたかな。」
「スネークのこと?スネークは結構頑張って練習したの。」
へ~スネークっていうんだ。
同じような動きとして、、ウェーブは剛毅さんから習っていたんだけど、・・・また違う動きなのかな。
「まだ初めて日は浅いんだよね?・・・たぶんアイソレーションまでしかやったことない?」
「昨日から始めたから、ダンス歴は無いね。」
「そっか、・・・私がやったのはね、このスネークっていう、アイソレーションの応用と言うか。」
アイソレーション。俺もさっき練習していたダンスの基本中の基本。いわゆる、首の横移動とか、胸を前に出したり、腰を前横後ろと動かしたり。
全ての動きの元になる事が多いから、練習したほうが良いと言われた。まだ俺は実感をもてないが、剛毅さんがいうにはアイスレーションが上達してくると、同じムーブだとしてもダンスに違いを持たせられるんだとか。
まあ、それくらい大事な技術なんだけど。スネークは知らなかったな。
「スネークはこんな風に、首胸腰ってアイスレーションしてって・・・」
・・・すげぇ。うねると言うか、名前の通り蛇みたいにうねうねしている。・・・こんな感じかな。
アイソレーションは教えてもらったので、その応用でスネークをやってみようとした。・・・だけど、上手く出来る気がしない。なんか全身ガタガタな気がするし、、、へなちょこと言うか、アイソレーションの熟練度が足りないんだなって。
「ははは、ガタガタ。・・・まずスネークをやるんじゃなくて、ウェーブが出来るようになった方が良いよ。そっちの方が、うねる感覚が分かるから。」
そう言い見せてくれた、腕のウェーブは俺が知っているウェーブよりも綺麗だった。・・・練習をがんばったんだろうな。
そう分かるような、努力の結晶だった。
「すごい。」
「ありがとう。」
「凄いよね。その子のウェーブ。」
あ、心先輩が復活した。さっきまで、阿部先輩に慰めてもらっていたけど、もう十分見たいで口から魂が出そうな阿部先輩を置いておいてこっちに来た。
「昨日小奈津ちゃんが踊ってるところを見ちゃってね。折角だからって勧誘したら来てくれたんだ!」
「へ〜あれ?ダンス部の事は知らなかったの?」
昨日は部活を見学出来たので、ダンス部に来て見学はしなかったのかな。
「えっと、ダンス部がある事を知らなくて。」
あれ、口調が戻っちゃった。さっき、人見知りなのかなって思ったけど、単純に運動してアドレナリンが出ただけだったみたい。
「そうなんだ。じゃあ、ダンス部には入るの?」
「?入部届は出してるからもう部員だよ。」
あ、もう入っているんだ。
行動速いな~。俺でも、部活見学くらいはしたけど、どんな部活か見る前に入るなんて、大人しそうに見えるけど行動力ヤバいな。
「じゃあこれからもよろしくね。」
「・・・はい。」
えっと、普通に挨拶しただけなはずなんだけど、、、俺と小奈津さんで雰囲気ちがくない?
「ぐふぅ。バラみたいな雰囲気キツイ。」
ダンス一筋の心先輩が思わずたおれてしまったんだけど。
☆
心先輩
それは桜咲く新生活の始まり。
そんな日の学校の話。(意訳 昨日)
私は部活が終わりかたずけが終わった事を確認して、部室を閉じると何処からか聞き覚えのある足音がした。
別に、足音と言っても「これは〇〇だ!」って分かるんじゃなくて、ダンスのステップに似た足音と言う事だ。
一応ダンス部の部長なので、違反行為、部室、体育館、校庭以外で許可のない場所でダンスをすることは禁止、は率先して注意しなければ行けない。
もし、ダンス部の人が禁止の事を知っていて違反をしていたら、部活の評価に関わって来る。だけど、それは先生に見つかった時だ。
先に私が見つけることが出来れば注意で終わる。
「先生に見つかる前に早く行かなきゃ。」
足音が聞こえたのは、校舎裏の、そこまで人気が無い場所。たぶん3年生でもこの場所に来たことが人は少ないと思う。
実際に、私も久しぶりに来る。
「誰~ダンスしているの。」
そう言いながら回っていると、何処からか声が聞こえた。
「は、はい!」
・・・可愛い声だ。・・じゃなくて、この声はダンス部じゃないかな。そう思い声がした方に行くと、曲がり角からひょこッと可愛い一年生が出てきた。
・・・可愛い。
「貴方は一年生?」
「そ、そうです。」
あ、すっごい怯えてる。・・・この状況叱る場面だもね。
「ふふ、そんなに怯えなくていいよ。ここでダンスをするのはダメだから、注意しに来ただけだから。」
「そ、そうなんですか。・・・これからどうしよう。」
可愛い
「ダンスやっているなら、うちの部活に入らない?私ダンス部の部長をやっているんだ。」
「ダンス部。ダンス部なんて会ったんですね。」
「え、ほ、ほら、入学式のあとに、部活初回で踊ってたじゃん!覚えていない?」
「その時は・・・保健室に居ました。」
「」
保健室にいたならしょうがない。・・・とはならなかった。
ダンスに凄い熱意がありそうなのに、ダンス部があったことを知らないの。
その瞬間だけは、私の広報が足りないのかもしくはダンス部自体そこまで有名ではないのか、ごちゃごちゃになって・・・うちの部活は凄いんだぞ!と言う、事を思い知らせてやろうと思ってしまった。
「そっか、それならダンス部を知った記念に入らない?」
「あ、部活届。ちょっと待っててください。」
何かを出そうとしているので、ちょっと待っていると何か1枚の紙をとりだして、部活名を書き出した。
「これで、大丈夫ですか?」
その渡された紙を見ると、そこには部活届と書かれていた。・・・本来は明日もある部活見学を通して、書いてもらおうと思っていたけど。
何も知らない状態で、書いてくれるなんて。
「ありがと。そうだ、明日は時間ある?折角だから、部室に来ない?」
「明日は予定は無いので、行かせてもらいます。・・・そうだ!その時踊れますか?」
この子、ダンス熱が凄そうだから明日にも1回部室に来させたほうがいいかも。この子の事はもっと分かった方がいいと思うし。
「いいよ。そうだ、ラインはやってる?明日呼ぶから知っといたほういいよね。」
「ライン。・・・アカウント消しちゃったんですよね。」
え、
「な、、なんで消したの?」
「いらないかなって。その時誰とも交換していませんでしたし。」
そ、そっか〜。そんなに簡単に消しちゃう人がいるなんてしらなかったよ~。・・・出来れば入れていてほしかったな~。
まあいっか。ここで長々と話してもあれだし、
「そっか、それなら明日授業とか終わったら、校門の前にある、銅像の所に来てほしいな。」
「分かりました。・・・今日はありがとうございます。」
穏便に解決できてよかったけど、、あの子大丈夫かな。
そう思い、渡された紙を見ると、そこには綺麗な字で名前が書かれていた。
「神野 小奈津ちゃんね。」
その名前はこれからの私の人生に多大なる影響を与えるだろう。
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