第2話




 2話


 ダンスの起源は遥か昔の文明が生まれる前からだと考えられている。ダンスの歴史で最古の文献として残っているのは古代エジプトの絵画だと言われている。


 2人の女性が音楽に合わせて踊っている。そのダンスは、出産の痛みを紛らわすための踊り、農作物の豊作を祈るための踊りなど諸説があり、はっきりとしたダンスの目的は不明である。


 では、最古のダンスは分かったが、ダンスの起源はなんなのか?とある説によれば、ベリーダンスだと言われている。ベリーダンスは8000年前以上にうまれたダンスと言われているため、ダンスの起源と言っても差支えないだろう。


「俺が知っているのはこの程度ですね。こんなことを知っていても現代の様々なジャンル派生していったダンスに対してなんににも使えないでしょうけど。」


 教室から逃げるように出来るだけ速く出て気俺は、ダンス部の部室に行こうとしてた。その途中、3年生の先輩が廊下を歩いており、今日くらいは元気よく挨拶をしようと思い頭を下げたら、なぜか声をかけられた。


 すると、何と言う事か。その男性の先輩はダンス部みたいなのだ。何でも、最近は他に嵌ったことが合っていけていないみたいだが、その先輩の好意で部室まで連れて行ってくれるみたいなのだ。


「随分と皮肉質なんだな。ダンス部に入っている俺でもそんなダンスの起源なんて知らなかったよ。」

「昔の趣味の影響で、少し調べていたんですよね。」

「へ~、じゃあ、ダンス関連の事をやってたの?」

「いえ、そう言う事じゃないんですけど。・・・今は休止中なんですけど小説をよく書いていて。」


 それなりに本気でやっている。だけど、今は小説よりも学業の方が大事だと、親にもう説得された。いま稼ぐことが出来ても将来は分からないと。


 その熱は俺を子と見ている以外にもあるのではないかと、疑ってしまうくらい。・・・俺はその説得に負けて、この学校に来たのだ。


 まあ、俺の世界観がいつまでウケるのか分からないから、学校には行った方が良いんだろうな。と思っていたところだった。そんなわけで小説を少しだけ休止している。


「え!もしかして販売とか出来てる感じ?」

「ん~。販売はしてるんですが、、、俺が書いたって俺から広めるのは、そこまで本意じゃないんですよね。出来ればこの本が面白いよ、って広まって欲しい。」


 ・・・俺の本は自分のために書いたものだ。他人に見せるために書いていた訳では無い。だから広まって欲しいとは思ってないし、別に世間一般に浸透してほしいとは思っていなかった。


「そうなんだ。・・・それなら運動はあんまりやったことない感じ?」


 先輩もその雰囲気を感じ取れたようで、あんまり踏み入る事はして来なかった。俺にとっても、その選択は嬉しいし、たぶんだけど先輩にとっても正解だろう。


 ・・・不正解はいくらでも見て来た。だから、この範囲には入ってきてほしくない。


「いえ、サッカー、野球、テニス、空手、バスケ、水泳、卓球、バトミントン、後は・・・カバディくらいまでならやってましたね。」

「え?!そんなにやってたの。・・・もしかしてやっていた期間が短いとか?」

「えっと、空手卓球水泳は4歳から中学くらいまで、サッカー、テニス、バトミントン、バスケは2年くらい。野球、卓球は1年も続けてないですね。」


 ここまでスポーツをやっていた一番の理由は親の英才教育の結果だ。なんでもお金はあるから、一番いい教育をしなきゃそんである。とか。


 まあ、そこまで貶されていた訳でもないけどね。今もたまに家に戻ってるし。


「それなら、結構ちゃんと続けて居るんだね。あれ?カバディ?は?」

「あぁ、カバディは先週までです。」

「あ、結構最近まで運動をしていたんだね。」


 カバディ?っていう顔をしているが、俺も最初聞いたときは何それ?って思ったもん。マイナーな競技だから分からない人も多いよね。

 実際やったら凄い面白かったけど、・・・なんでマイナーどまりなんだろう。


「じゃあ、ダンスは初めて?」

「はい。さっきの部活紹介で見たパフォーマンスが凄かったので見学してみたいなと。」

「そっか。・・・そろそろ部室だから場所は覚えおておけよ。」


 俺が先輩についてきて、来たのは学校の建物としては珍しい?最低限俺は見たことが無いけど、アパートくらいの大きさの建物に入って行った。


 部室がどこにあるか分からなかったけど、外に出てきた時は外で練習するの?!と驚いてしまった。でも、ちゃんと部室があるみたいでよかった。

 それも、ちゃんと立派な場所で。


「こんちゃ~!期待の新人を連れてきたぞ~!」


 謎に先輩たちを期待させるような、声かけは俺にどの様な挨拶をするかで悩ませてきた。だって、挨拶程度とは思うかも知れないけど、今この状態での先輩たちに与える第一印象は挨拶なのだ。


「こんにちは見学に来ました、1年の光ヶ丘です。よろしくお願いいたします。」


 そう言いながら、丁寧に頭を下げる。


 出来るだけ無難に。俺は主人公ではないのだから、奇抜に「うい~す」とか「俺がダンス界のナンバーワンを獲る」と言ったら引かれるだけだ。

 出来るだけ無難に、できるだけ誠実に、初対面だから好感度を高くも低くもない50に。


 そんな、この部室で1人しかいない男先輩の「期待の新人」発言にはそれなりの対応が出来た気がする。


 これが今の完璧だ!と自信満々に頭を上げ部室内を見ると、そこには俺に対して視線を向けている女子生徒が大勢いた。


 え、なにかタブーでも犯したの。。。


「大丈夫だ。男がダンス部を見に来ることが珍しいんだ。」


 あ、ああ、そう言う事か。ふぅよかった。思わず俺の忍術スキルを使って隠れてしまうところだったぜ。あぶねぇあぶねぇ。

 それにしても、ダンスって女性が多いんだ。ダンスの歴史はある程度、小説のネタに出来るかなって思って調べたけど、今の現状は調べなかったからな~。


 そんなふうに、端っこに寄りながら考えていると、スタジオの真ん中らへんから、黄色い大きい声が聞こえてきた。


「やった!!今年は男子をゲット出来る!阿部君ナイス!」

「あぁ、これで去年幽霊部員だったことを許してくれ。」

「このファインプレーに免じて、練習を無断欠席した事を許してよう!」


 なんか、テンションがハイレベルな人だな。

 俺とはかけ離れている感じがする。


「あ!新入生の光ヶ丘君?見学に来てくれてありがとう!」

「こちらこそ歓迎してくれてありがとうございます。」

「そうだ!まだ、練習の時間じゃないから待って貰おうと思ったけど、折角だし阿部君に少し教えてもらいなよ!良いよね?昨年ずっと休んでいた阿部君。」


 壁際に腰を掛けて、ぼーっとスマホを見て休んでいた所、邪魔されて「ふん!」となっている阿部先輩はそれは反則でしょと、言いたげにしている。だけど言い返そうとはしない。


 良いかしても、自分が不利になる事をさっとったみたい。


「わぁったよ。光ヶ丘こっちにこい。少し教えてやる。」

「ありがとうございます。」


 ☆


 一応持ってきていた体育着に着替えて先輩の前に立つ。この学校の体育着は結構カッコ良くて着てて気分が上がる。まあ、カッコいい服を着てカッコよくなるのはイケメンだけって相場が決めているから。


「よし着替えたか。」


 目の前に立っている、先輩は体育着ではなくて部活用に持ってきたであろう、かっちょえぇ服であった。


 ・・・ダンス部に入ればあの服が合法で着ることが出来る!

 今まで、自分にはに合ってないから、って逃げてきたかっちょえぇ外れ者感のあるあの服。


 あんな服を着るのは、本の中にいる人だけなんだろうな~と思っていた。・・・俺があの服を切る事が出来るんだ・・・。


 この時点で、ダンス部に入る事は決定したと後に語る。 


「おっけぇ。まずは柔軟しとけ。体が硬いと怪我するからな。」

「・・・」


 ペタン。

 俺の腹は床とミリの差もなくくっついている。ふふふ、年齢-4歳も運動に身を置いていた人類をなめるんじゃないぞ!


「すっげぇ。」

 対して先輩は、、、、バッキバキみたいです。真面に股を開く事さえできていない。


「先輩。怪我しますよ?w」

「・・・これでもダンスは出来るから良いの。」


 このスタジオにいる全ての人類は思っただろう。「何言ってんの?あのバカ」と。


 でもこれだけ柔軟な体とは言え、サボっていたら直ぐに硬くちやうから、毎日欠かさずやらなきゃいけないのは大変なんだよなぁ。


「もしかして光ヶ丘くんってバレエとかしてた?」


 さっきの阿部先輩と話していた、女性の先輩が話しかけてきた。


「いえ、バレエはしたことが無いですけど。」

「あ!自己紹介がまだだったね。私は、3年の丸井 心。心さんとかこっちゃんとか好きなように呼んでね。」


 こっちゃん・・・心さんだな。


「これからよろしくお願いします心さん。」

「よろしくね!それで、そこまで柔軟を出来る人なんてそこまで見たことが無いんだけど、何か運動してたの?」

「4歳から運動をしてました。まあ、ずっと同じ事をやっていた訳では無くて、転々と渡り歩いていましたけど。」

「そっか~。それで、何の運動を?」


 ・・・話すのがめんどくさい。やってきた運動が多いだけに、話す量が多くなってしまう。そこまで会話が得意ではない俺がこの量の単語を話すのは致死量になってしまう!


 何とか話さないように、阿部先輩に視線で助けを呼ぶが、なぜか助けようとはしない。何か悪い事をしたっけな。・・・ほわんほわんほわん「先輩。怪我しますよ?w」


 悪いことしてたわ。しょうがない。


「えっと、サッカー、野球、テニス、空手、バスケ、水泳、卓球、バトミントン、カバディを少しずつ。今はどれもやっていませんが・・・」

「え!凄いいろんなスポーツをやってるね。何か賞を獲ったこととかある?」


 ・・・どれだけ真剣にダンスをやれるか知りたいのかな。確かに、いろんなスポーツをやっていると知っても、そのスポーツ全部で適当にやっていたとかなら、その歴もただの名前だけだもんな。


 しょうがない。小説の方に関連ずける事も出来る賞もあるから言いたくないけど、今はダンスを真剣にやりたいし、赤裸々に語ってしまうか。


「一応、サッカーとバスケでは全国に出てます。他のスポーツでもちょこちょこ賞をとれてます。」

「全国出てたの!すごいね!」


 その言葉を聞くと心先輩はどこかに行ってしまった。たぶんお眼鏡に適ったのだろう。そう思いたい。

 全国に行ったのに何とも思われないとかなら、どんな賞を獲れば良いんだよって話になっていまうが。


「お前、全国に行ってたんだな。。。。何位まで行けたんだ。」

「ご想像にお任せを。」


 阿部先輩にはさっきの仕返しを。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る