第90話 何事もなかったかのような
温泉につかっていたはずなのに、寝ていました。そして起き上がると寝間着を着こんでいました。
見た事のない寝間着ですが、これを着た記憶がない・・・・つまり誰かに着替えをしてもらった事になります。
落ち着け僕。
ふと横を見ると、椅子に座ってこっくりしているコラリーヌさんを発見。
で、僕が起き上がったのに気が付いたのか、
「ショースケ様、気が付かれましたか。」
「もしかしてのぼせちゃった?」
「その、ごめんなさい。私達のせいですよね?」
「うーん、どうなんだろう?記憶にないからわかんなくって。それより僕の上着を取ってくれないかな?」
上着の中には収納機能があるので、コップを取り出そうと。
「少々お待ち下さいね。」
そう言って近くに僕の服が仕舞ってあったようで、直ぐに持ってきてくれました。
「お待たせいたしました。」
そう言って渡してくれます。
「ありがとう。」
僕はそう言って受け取り、ポッケをまさぐりコップを取り出します。
落ち着く飲み物を。
コップに念じると、コップの中に液体が満たされました。
飲むと何だか落ち着きます。
そう言えば他の女性陣はどうしたのかな?
「コラリーヌさん、妹さん達とニネットさんは?」
「もう寝ました。」
成程コラリーヌさんが僕を看病してくれていたけれど、こっくりしていたのはそのせいなんだ。
つまりもう夜。そして夜中かな?普通は寝ている時間なのでしょう。
「そんなに遅くまで僕の為に?」
「だ、駄目だったでしょうか?」
「ううん、ありがとう。もう大丈夫だから、コラリーヌさんも寝てね。」
「しかし、心配です。」
「大丈夫だから。」
「・・・・やっぱり心配です。」
うーん、このままだと平行線になりそう。
「わかった。じゃあ・・・・一緒に寝る?」
思わずそんな提案をしてしまいました。
「あ、そ、そんなつもりじゃあないんです!私みたいな醜い女と一緒に寝るだなんて、いやですよね?」
そう言う意味で一旦じゃないんだけど。それにコラリーヌさんは僕が今まで見た中でもとびっきりの美少女。それを醜いとかありえません。
「僕にとっては理想の女性って言わなかったっけ?さ、変な事はしないから、一緒に横になろう?」
「確かにこんな身体では魅力はないですよね。ですがショースケ様が心配です。では失礼します。」
そう言ってコラリーヌさんはベッドの端で横になります。
ただこのベッド、かなり大きいんです。
多分ダブルサイズが2つ並んだぐらいの大きさ。
そして今になって気が付きましたが、枕が2つ並んでいます。
「枕があるので、枕で寝下さい・・・・持って行っちゃあ駄目です。このままで。」
枕を移動させようとしたのを止めます。
そして諦めたのかコラリーヌさんは僕の隣で横になります。
僕は思わずコラリーヌさんの手を握っちゃいましたが、一瞬ためらった後握り返してくれました。
何だか安心したのか、そのまま寝てしまったようです。
気が付けば朝。
コラリーヌさんに起こしてもらいました。
その後も何もなかったかのように食事をし、出発しました。
昨日の事は誰も何も言わないので、敢えて僕も何も言いませんでした。
その後は何も起こらず、伯爵さまの屋敷を出発して3日、予定通り首都ジュリグーに到着しました。
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