第89話 温泉のお約束、そうなると思ったんだよね

 食事も終わり温泉へ!


 察してくれたのか女性陣は全員婦人用の方へ向かってくれました。

 安心です。

 僕は殿方用の方へ向かい、早速服を脱ぎ入ります。


 洗い場も広く石でできた床がいい感じで、お!シャワーがあります。

 どうやら魔石を利用して水をくみ上げているようで、しかも水じゃなく湯が出るので驚きました。


 これ温泉の湯を汲み上げて利用しているようで、汲み上げは魔道具で行っているそう。その動力源は魔物の魔石なんだそう。


 そして身体と頭をしっかりと洗い、僕は早速湯に入る事にしました。


 ここの湯は露天があり、外に出て入るようになっていて夜空を見ながら堪能できる感じで、夜風が顔に当たり気持ちいいんです。


 しかもなんか無駄に広く、泳げそう。


 そして僕はついうとうとしてしまっていて、異変に気が付かなかったんです。

 そう、女性陣の声がすぐ近くで聞こえていたんです。

 最初は、温泉旅館と言うのは大抵男湯と女湯が隣り合わせになっているから、声ぐらいは聞こえるよね、と言う認識だったので気にしていませんでしたが、僕はウトウトと言うか寝てしまっていたようで、

「ショースケ様、こんな所で寝ていては駄目ですよ。」

「ショースケ、おぼれるぞ!」

「冷たい飲み物持って来たわよ。」

「お兄ちゃん、のぼせちゃうよ?」

「仕方ないわね、これでも飲んで。私が煎じたお茶だから長湯でも問題ないわよ。」

「みんな心配かけてごめんね。それとちょうど喉が渇いていたんだ、ありがとう。」


 そう言って僕はコップを受け取り、飲みます。


 何だか落ち着くお茶だなあ。


 そしてふと思いました。

 あれ?僕って男湯で湯につかってたよね?

 しかも女性陣は全員婦人用の方へ向かったはず。


 僕は慌てて周りを見ます。

 すると目に入ったのはサティ4姉妹にコップを受け取ったニネットさんの姿。

 しかも全員裸です。


 え?何で??


「この露天風呂、仕切りが開閉できるようになっているようで、今回のように貸し切りの場合、こうして男女の区別関係なく行き来できるようになっているようなので、早速来ちゃいました。」


 どうやら僕は一人でゆっくり温泉を満喫したい、と言う希望が打ち砕かれたようです。

 しかも周囲は男湯なのに裸の美少女ばかり。

 ああ、お約束の展開だね。

 しかも湯から出るに出られない状況なので我慢するしかない。


 僕はなるべく周りを見ないようにしようと思ったのですが、それを許さない状況にどうやら僕は混乱しまくって、自分がのぼせる直前の状況になっている事に気が付いていなかったようです。


 そこまでは記憶にあるのですが、気が付けば僕は横になっていました。

 あれ?


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