第91話 首都ジュリグー

 馬車はそのまま首都に入り、目的地であるジュリグー魔法学院に向かいます。


 僕達は馬車の中にいたので気が付きませんでしたが、窓から外を見ると、沢山の人が並んでいました。

 ですがこの馬車は人の列をものともせず、別の門から街に入っていったのです。


 並ばなくてラッキー!

 等と事情が分からなかったのでそう思ってしまいましたが、よくよく考えると何でこの馬車は大して待たずに街に入れたのだろう、と。

 こういう時はオーリグーでギルドの職員だったコラリーヌさんに聞いてみようと思いましたが、それよりもこの馬車に何度も乗った事があると思われるニネットさんに聞くべきかと思い、ニネットさんに聞いてみます。


「ニネットさん、何故この馬車はあそこで並んでいる列で待たないんですか?」

 すると、え?みたいな顔をしているので僕変な事を聞いたのかな?と思ってしまいました。


「だってこの馬車、オーリグー伯爵の所有する馬車よ。つまり貴族の持ち物。しかもその中でも一番上等な馬車なわけ。つまり貴族だから、こういう時は別の入り口を案内してくれるのよ。」


 うーん、なんか違う気がしますがどうなんだろう。


 実際少し違ったのですが、貴族や金持ちは別の門を通る事があるようで、そういう門は殆どな並ばずに済むのだとか。


 それとは別に、冒険者など、カードを所持している人専用の門もあるようで、これはカードをかざせば自由に行き来できるようです。

 あれ?普通の人はカードを所持していないの?


 僕は全く気が付かなかったのですけれど、どうやら冒険者用のカード、商人も所持しているのですが、これって高価なんだそうで、金貨10枚程するようです。


 た、高い!

 日本円にして100万円ですか?

 どうしてこんなに高いのだろうと思ったのですが、このカード、色々な機能があるので高いんだそうです。

 そして普通の人が簡単に冒険者になれないような抑止の意味もあるようです。

 殆ど装備のないままダンジョンに挑めば、死ぬ確率がぐんと上がってしまいます。


 そうならないためにもそうしているのだとか。


 まあ実際に魔物を仕留め、ドロップアイテムを換金すれば100万円はあっという間なんだとか。


 だけど最初に魔物を仕留めるのが大変じゃ?


 馬車の中でそんな事を話していると、どうやら目的地に到着したようです。


【ジュリグー魔法学院】


 ジュリグー王国随一の魔法を学ぶ学校。

 ジュリグー王国の王都ジュリグーにあるその学院は下は6歳、上は20歳まで学ぶ事が出来る

 あれ?そう言えば詳しい事を知らない!

 年齢は聞いていたけれど、具体的に何を学ぶのか、どう学ぶのか今更だけど知らないとか僕は今まで一体何を言やっていたのでしょうか。


 何だか伯爵さまの館のような建物がいくつも見えます。


 そして馬車は門を通り、そのまま一番立派そうな建物の前で馬車が止まります。

 御者のおじさんがノックをしてくれます。


「さあ着きましたよ。入校の手続きがありますから、馬車から降りて下さい。その後は入寮手続きですね。」


 どうやら寮で暮らす事になるようです。

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