第87話 伯爵さまの馬車だったようです
そう言えば僕、馬車って初めてなんです。
日本にいた頃に馬を見た事が殆どありません。
競馬に興味はなく、動物園って意外と馬が居なかったり?
シマウマは見た事ありますが、遠くにいるのを見るぐらいで、近くではで見た事がありません。
乗馬用の馬には縁がありませんでした。
それに馬車ではなく自動車で移動していましたしね。
そもそも日本に馬車なんてあるのでしょうか?
注:日本では皇室に儀装馬車と言うのが現役で存在しています。
今回の馬車はこの馬車をイメージして下されば、と思います。
今回伯爵さまのご厚意で、伯爵さまの所有している馬車をお借りしました。
しかし実際には伯爵夫人が手配をして下さったようです。
伯爵夫人が伯爵さまに、
「お腹の子はショースケ殿あっての授かりもの。貴女、彼にそれ相応の対応をしないといけませんわよ。」
僕は必要以上に物を受け取らなかったのですが、それでは感謝が足りないと思ったようで、こうした事で少しでも感謝の気持ちを表したい、との事らしいです。
そしてこれは有り難かったので伯爵(夫人)さまの気持ちを受け取り、こうして馬車に乗っています。
しかし、なんていったらいいのか、無駄に豪華なんです。
こうした乗り物に乗り慣れているのかニネットさんは、
「今回伯爵さまは本気だったようね。」
何が本気か分かりませんが、どうやらこの馬車、伯爵さま本人が移動する時に使用する馬車だったようです。
尤も伯爵さま程の身分だと、馬車を複数台所持しているのが当たり前なようです。
だけどなんで一番いいのを?
どうやら伯爵さまの矜持に関わるそうで、自己満足ともいう?
僕は恩人らしいので、伯爵さまの最大限の・・・・ごめんなさい僕が色々断ったせいですよね。
だけどそのおかげか、それなりに快適・・・・とはいいがたいですが、順調な旅です。
何が快適と言い難いか、それは、お尻が痛いんです。
振動がダイレクトに伝わってくるんです。
勿論馬車の座席には布がふんだんに敷き詰められていますが、道が悪いんです。
ニッホンダと車が通る道はほぼアスファルトで舗装されていますが、この世界では道と言うのは基本、地面を平らに慣らした程度らしいです。
らしい、と言うのは僕が知らないからで、きっと王都だとちゃんと舗装されている・・・・と期待したいです。
なので何かないかなあと思い、ジェル状のシートを発見、購入してみました。
あの水色のブルー▲ジックとかいう奴です。
よくホームセンターとかに置いてある、買う?買わないよ?でも何だか気になるような。
実際に試すとこれが大当たりで、
「ショースケ様、何でしょうこの敷物は。お尻が楽になりました!」
「ショースケ何これ!気持ちいいんだけど!」
「これ部屋でも使ってみたいわ。」
「お兄ちゃん、不思議な感触。」
ニネットさんはもう一つねだってきたので購入し渡したのですが、
「ショースケ、これは何でできているの?再現できるかしら?」
きっとこの世界では厳しいでしょう。
ですがニネットさんが薬師として活動するならば、このシートをきっかけに何かできればいいなあと。
そんな感じで何とかお尻の痛みを軽減できたおかげか、最初の目的地に到着してもお尻は問題ありませんでした。
ただ、馬車と言う閉塞空間にずっと乗りっぱなしだったので、身体が降り固まってしまいました。
「さあ着きましたよ。この宿は温泉があるんですよ。皆さま馬車に揺られてお疲れでしょう?伯爵さまも馬車で移動する時は、この街で温泉を堪能されているのですよ。」
今回伯爵さまは馬車と共に御者の方を手配して下さいました。
40過ぎの恰幅の良い、人のよさそうなおじさんです。
そしてこの御者のおじさんの案内で、宿に到着しました。
どう言い表せばいいのか、きっといつも伯爵さまが宿泊している宿なのでしょうね。
可也の高級旅館。
まあ僕はお金を沢山持っていますからたぶん問題なく支払いはできると思いますが、多分庶民では宿泊できないんじゃないかな?
「勿論伯爵さまよりお代を頂戴致していますから心配なさらなくても大丈夫ですよ。」
きっと僕達6人は御者のおじさんが心配するような表情をしていたのでしょうね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます