第84話 ショースケのお願い
僕が伯爵さまに叱られている頃、疾風迅雷のパーティーがダンジョンから帰還した報告を冒険者ギルドにしていたようです。
その経緯なのですが、
「俺ら殆ど何もしていなかったのに、こんなにドロップアイテムを貰ったうえに、レベルも2つ上がったんだ。これぐらいはさせてもらうよ。」
疾風迅雷のパーティーリーダー・ヘリットさん。
「そういう事だ。せめて面倒な事ぐらいはさせてもらうわよ。それにしても本当にいいのかい?」
サブリーダーのミルテさん。
何がいいのかと言うと、
ダンジョン100層を攻略した報告
ドロップアイテムの売却
主にこの2つです。
僕達のパーティーは、一番上でもコラリーヌさんの15歳。
ニネットさんって何歳なのかな?
後で知りましたが、ニネットさんも15歳なんだそう。
そう言えば薬師として紹介してもらった時、まだ駆け出しと言伯爵さまが仰ってた覚えがあるのでそういう事なのかなと。
で、僕は10歳。
さらに言えばキラリーヌちゃんは9歳。
その上も10歳と12歳。
ぶっちゃけお子様パーティーです。
そのお子様パーティーが、今まで70層あたりまでしか攻略されていなかったダンジョンを、100層まで攻略したと言っても信用してもらえないでしょう。
何言ってんだ、と。
しかし恐らく中堅パーティーである疾風迅雷が、ダンジョンを何らかの方法を発見し攻略できたとなったら?
そういう事も含め僕はお願いをしました。
「だけどなあ、俺ら何もしてないんだよなあ。」
リーダーさんは渋ります。
「あまり言いたくはありませんが僕は、皆さんを助けた事があります。」
「それを言われちゃ断れないよ。ヘリット、ここは私らが折れるべきだ。ショースケには助けてもらった恩がある。こんなのでは恩を返した事にはならないけどさ、その恩人の
「うーん、しかし・・・・本当にいいのかい?こう言っては何だが俺達疾風迅雷はまだC級パーティーだぞ。それがいきなりダンジョンを攻略したとかおかしいと思うんだが。」
「それを言ったら冒険者になりたてのお子様パーティーがそもそもダンジョンで活動できると思うほうが変ですよ。因みにコラリーヌさん、僕達ってランクとかどうなんですか?」
「はい、結成したてでネームもありません。最低のFランクです。一応説明しますと、下からF・E・D・C・B・A・Sとなり、最高はSです。これはパーティーにも個人にも適応されます。私達全員パーティーも個人もFですわ。」
尚更です。
結局折れてくれた疾風迅雷のパーティーが冒険者ギルドで報告をしてくれたのですが、当然ながら大騒ぎ。
「絶対あのショースケと言う少年の仕業だろう。疾風迅雷のパーティーはオークジェネラルに歯が立たなかったじゃないか。それなのにキングとかどう考えても無理だろう。」
ギルドマスターががそう言って騒ぐも親方が、
「冒険者ギルド、特にお前さんはあいつに大きな借りがあるからなあ。」
いかに愚かな神とはいえ、その神の命令でやってはいけない事をしてしまったのだ。
その借りを返すと思えば、簡単な事・・・・ではないようだ。
「あのなあ親方!過去数百年にわたり攻略できなかった70層の突破、それを成し遂げただけではなく、100層到達だぞ!」
その後冒険者ギルドは大騒ぎとなったのだった。
そしてショースケは、
「申し訳ないですが流石に疲れたので寝させて下さい。」
伯爵さまにダンジョンの事で質問攻めにあい、伯爵夫人の助けでやっと解放されたのだった。
そしてその夜、ショースケの部屋に集まるパーティーメンバー。
「ねえショースケ、本当によかったの?」
この頃にはニネットはショースケを常に呼び捨てにしていた。
因みにクラリーヌもカロリーヌも呼び捨て。
キラリーヌだけはショースケをお兄ちゃんと呼んでいた。
そしてコラリーヌはショースケの事を相変わらず【ショースケ様】と呼んでいた。
ショースケは呼び捨てで、と何度も呼び捨てで!とお願いしたものの、
「ショースケ様が私をコラリーヌと呼んで下されば考えます。」
と言われたものの、女の子を呼び捨てとか無理。
暫く慣れないといけない。
「ではショースケ様が私をコラリーヌと呼んで下さるまではショースケ様とお呼びいたしますわ。」
こういう所が頑固だった。
で、ニネットさんの質問。
「色々いいんですよ。僕はまだ子供ですし。それに色々面倒なので、ぶっちゃけ疾風迅雷のパーティーの皆さんには面倒事を押し付けてしまいました。」
「そう?それならいいのだけれど、過去に攻略できなかった階層を攻略できたんだから、富も名声も思いのままよ?」
「それを得てどうなるのでしょうか。」
中には富と名声を求め冒険者をしている人もいるようです。
新たな発見や攻略、未だ討伐できていないような強い魔物の討伐等々。
そこで僕はふと思いました。
僕は何を目指しているんだろう。そして何を目指すべきなのかな?
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