第13話 沢山の死体と、怪我人と 

「ねえ少年、貴方今動ける?」

「ええと、身体は問題ないです。」


「では、一寸お願いしたいのだけど、いいかしら?」

「・・・・僕でできる事ですか?」

「ええもちろんよ。まあ見たらわかると思うけど、魔物はもういなさそうなんだけどね、冒険者、怪我人もいるけど、死んだ人もそれなりにいそうだからね、死体を一か所に集め、怪我人は・・・・助かりそうなら治療をしてあげられたらとね。」

「ええ、ただ僕こんな姿なので、大人を動かすのは厳しいと思うんです。」

「まあその辺りは他の冒険者もやってくれると思うから・・・・じゃあ私と一緒にお願いね。」


 そう言ってその女性はずんずん進んでいきます。


 オークはそのまま?

 そして・・・・

「あちゃあ・・・・リーダーくたばったか・・・・真っ先にオークジェネラルに狙われてたからなあ。」


 そう言って跪き、倒れている人に向かって何かしてますが・・・・

 あ、顔が半分吹き飛んでますね。これは即死ですね。

「あ、こっちはまだ息がある!ねえ、少年、さっきの水、まだある?」


 このお姉さん、僕のコップの中身に気が付いてた?

「あ・・・・多分まだある・・・・と思います。」


「じゃあ悪いんだけど、飲ませてあげてくれない?」


「分かりました。」


 僕はその倒れている男性の冒険者?にコップの水を飲ませます。

 暫くすると・・・・パチッと目を開け、何事も無かったかのように立ち上がります。

「おろ?俺・・・・どうしてたんだ?」

「まあ!よかったわね生き残って。リーダーはくたばったわよ。」

「え?まじ?あ・・・・本当だ・・・・あいつ真っ先にオークジェネラルに狙われてたからな。」

「あんた動けそう?」


「あ・・・・ああ?あれ?動くな。どうやら問題なさそうだ。」

「じゃあ死体と生きてる人を分けてよ。生きてる人がいたら教えて。」

「ああ、わかった。」


 この人はお姉さんの仲間でしょうか?


 僕はこのお姉さんに着いて行き、死体は無視をし、生きてる人に水を飲ませます。


 しかし何だろうこのコップ。


 結局10人程の冒険者が命を落としたようです。


 このうち女性が3名です。

 怪我人は20人程。

 単に吹き飛ばされ気を失っていた冒険者もいたようで、その人達は今オークの素材の回収と、冒険者の選別?死体を集めてます。


 僕はと言えば、生きてる人に水を飲ませ回復させていきます。

 この頃には僕が怪我人を回復させる手段を持ち合わせている事に複数の人が気が付いたようで、色んな視線を感じます。

 ですが、

「あんた達変な事考えるんじゃないよ!この少年、見た目はこんな小さいけれど、オークジェネラルを単独で仕留められる事の出来る腕前だからね。余計な事を考えたら返討ちにあうから。」


 あ・・・・変な目で見てた連中は僕から離れていきますね。

 そして回復したうちの一人が、僕に声をかけてくれます。


「すまんね少年。まさかこんな街の近くにオークの群れがやって来るとは思わなくてね。今日は他にも魔物が暴れてね。」

「は・・・・はあ・・・・」


「所で君、見ない顔だが・・・・この街の冒険者ではないのかな?というかまだ冒険者という歳でもなさそうだが。」


 ええとこの人多分いい装備をしているので、オークがこの街の近くに来たのを発見し、駆けつけた冒険者の中心人物と思うんだけど。


「この街に避難しに来たんです。以前住んでいた場所は戦争で・・・・両親や、一緒に居た村の人とやって来たのですが、途中ではぐれてしまいました。もしくは途中で命を落とした人もいるかもしれません。」


 そうなんだ。他にもはぐれた人がいるはずなんだけど・・・・僕の頭の中ではそう言う事になってますが、一緒に避難してきた人の顔が、名前がどうしてもわからないんです。

 そもそもその村?それも思い出せません。


「そうか、そう言えば隣国が今戦争しているらしいからね。まあ見てわかるだろうが、今は街の外まで難民で溢れかえっているのだよ。彼らは今、街の受け入れ準備が整っていないので、暫くああして外で待ってもらっているんだよ。」


 じゃ僕も街に入るのは厳しい?このまま野宿ですか?

 まあ食事はオークがあるからお肉は何とかなるとして、フライパンとかコンロがないと料理ができないけどあるかなあ?

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