二人で観て回る。

 やはりなんか合う感じがする。

 合わせてくれているのかなと思いきや、そうでもないときも。

 水浴びをしている女神の絵。

 絵とは言え、生々しさは感じる。

 男の人って、これ見てどう思うんだろ。

 顔をチラ見

「綺麗ですね」

「そうですね」

 笑ってしまった。お兄さんは照れているように見えて、先に行こうとするから腕をつかんでしまった。

 初対面なのに親近感を感じる。

 お兄さんは少し驚いて手を握ってくれた。

 私、落ちたと。私達落ちたなと感じた。

 好きだった。前からの恋人のように感じた。


 一通り見終わり、出口のところで最後にもう一回観ておくとメインの絵画に戻る。

 見方が私と同じ。

 そしてあの絵も見直すと、私と同じ事を考えていた。

 それから入り口の絵を見て。メインを焼き付けて。気持ち悪いくらい似ている。というのは嘘で、どんどん好きになってしまっていた。

 離れたくない感じ。

 周りから見れば気になるほど、お兄さんの腕にしがみついてしまっていた。

 流石のお兄さんもちょっと迷惑そう。

 残念だけど少し離れた。それはお兄さんもそう言うように感じている気がした。

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